工学部 研究紹介2018
45/148

悟性のないところに情報は存在しない。情報の本質はデジタルであり、不連続である。情報の本質は数式の向こうに透けて見える写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦2.85cm学生は各自が個別の研究テーマに取り組んでいる。だからこそ仲間からの率直な意見は貴重である。親睦も深めなければ写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦8.15cm⻄新研究室研究から広がる未来卒業後の未来像いわゆる地デジ放送が始まったとき、地震の緊急信号も映像情報と一緒に送られていました。ところが映像の圧縮処理による遅延が緊急信号にも影響していることが問題になり、別系統の処理となるように改められました。緊急信号が1秒遅れるだけでも被害の拡大は甚大になるのです。情報の伝達と遅延の関係を解き明かすことができれば、緊急信号の伝達方法の改善につながるかも知れません。あるいは、もっと高画質の動画をストリーミングで楽しめるようになるかも知れません。通信、放送、情報記録などはすべて情報源から受信者へ情報が届けられる過程とみなすことができます。西新研究室では様々な情報伝送システムを数理モデルで表現し、性能の理論的な限界を探求しています。例えば、ネットワークでの動画配信などのストリーミング技術では、滑らかな再生を実現するために帯域幅とデータ圧縮のバランスを考える必要があります。実用のためのノウハウは蓄積されていますが、事象の背後にある数理は解き明かされたとは言えません。理論的限界を示すことによって今後の改善の余地を見極めることができます。研究の手段としてプログラミングを行ないますのでその技術が身に付きます。情報関係の就職には大変有利でしょう。また、揺るぎない理解に到達していることをプレゼンで示す訓練を積みますので、就職後は周囲の信頼を集めることでしょう。西新幹彦准教授電気通信大学助手を経て、2007年より現職。情報理論の研究に従事。システムエンジニアの経歴も持つ。情報源符号化の現象を数理科学で解き明かし、理論的限界に迫る電⼦情報システム⼯学科研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード情報理論・情報源符号化・通信路符号化・情報理論的安全性・情報理論応⽤【先生の学問へのきっかけ】私は子供の頃からコンピュータが好きで、日本で最も初期に発売されたパソコンを買ってもらい、いろいろプログラムを書いて夢中で遊んでいました。再帰呼び出しの構造を自分で発見し、迷路を解くプログラムに応用したとき、私は中学生でした。その後高校大学と進むうちに、プログラムの背後には数学的構造があることを知るようになりました。一方、コンピュータが扱うのは他でもない「情報」です。学部を卒業してから情報と数学の関係に強く興味をもち、研究の道に進みました。子供の頃から培ってきたプログラミングの力が研究に役に立っています。•情報通信基礎理論•情報通信システムの数理モデル解析•不規則に発生するシンボルに対する符号化の遅延最小化(科研費(基盤研究C))•ポアソン過程に従ってシンボルを出力する情報源に対する実時間基準最適符号の構成(科研費(若手研究B))•情報理論的予測に基づく計算機システムの投機処理に関する研究(科研費(基盤研究B)、分担)•算術符号の符号語生成過程の解析と系列分布変換への応用(科研費(基盤研究C)、分担)電子情報通信学会各種委員(編集委員、サブソサイエティ委員、研究専門委員、国際シンポジウム実行委員、シンポジウムプログラム委員、奨励賞選考委員、支部庶務幹事、代議員)情報理論とその応用学会各種委員(庶務幹事、編集幹事、企画理事、シンポジウム実行委員、シンポジウムプログラム委員)主な論文(上)とその影響(下)ある論文は重要なアイデアとして利用され、ある論文はその後の研究の源泉となっている。43

元のページ  ../index.html#45

このブックを見る