工学部 研究紹介2018
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NaClをフラックスとして用いる方法によって合成した、六角板状の自形をもった膨潤性マイカ結晶写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦2.85cmゾルゲル法で低温合成したαアルミナ微粒子。少量の有機物を含むゲルから、極めて低温域でαアルミナが生成することを見出した写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦8.15cm物質化学科⼭⼝研究室研究から広がる未来卒業後の未来像私たちの身の回りには、いろいろな無機材料・セラミックスが使われています。山口研究室では、マイカ(フッ素雲母)やアルミナを中心とした、様々な無機材料の合成や応用に関する研究を行っています。マイカの研究は、信州大学工学部において古くから継続的に行われているものです。現在は、新しい膨潤性マイカ結晶の合成や粒子形態の制御、マイカ結晶の層間にナノ空間を形成した複合体の合成や機能化に取り組んでいます。また、無機塩水溶液を利用する新規ゾルゲル法によるアルミナセラミックプロセスについての研究を進めています。マイカやアルミナといった無機材料は、古くから研究・利用されてきているもので、そのような意味では必ずしも新しいものではありません。しかしながら、研究を進める中で、これまでに得られていない組成のものをはじめて合成できたり、いままでにない現象を見出したりすることが多くあります。同研究室では、4年生や大学院生がそれぞれの研究テーマのもと実験を行っています。卒業(あるいは大学院修了)後は、セラミックスやガラスに関係する企業のほか、電機・電子関係や化学・材料系のメーカーに就職する学生が多く、研究室の卒業・修了生が様々な分野で活躍しています。山口朋浩准教授信州大学大学院工学系研究科修了。信州大学助手および助教を経て、2011年より現職。研究分野は無機材料化学、セラミックス、粘土科学など。化学を活かして無機材料を創る。セラミックスの材料化学研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワードマイカ(フッ素雲⺟)・層状化合物・アルミナ・インターカレーション・多孔体【先生の学問へのきっかけ】中学の頃から化学が好きでした。化学を勉強しようと思った一番のきっかけは、やはり「好き」だったからでしょう。自分で料理をする機会が多く食品にも興味があったので、大学では食品に関係する化学を勉強したいと漠然と考えていました。その後、食品から無機材料に興味が移ったきっかけはまったく覚えていません。現在行っているマイカ(雲母)に関する研究は、信州大学工学部で古くから続いてきたものです。私がこの研究を始めたのは、卒業研究のテーマとして先生から勧められたことがきっかけです。「好き」で始めた化学の勉強と、大学での恩師との出会いがきっかけとなって現在があります。•マイカ結晶の低温合成・インターカレーション(豊富に存在する天然鉱物を原料とするマイカセラミックスの低温合成プロセス,インターカレーションを利用したミクロ多孔体の合成等)•アルミナ粉末の合成と相転移制御(ゾルゲル法によるαアルミナの低温析出,高耐熱性γアルミナ粉末,ベーマイト等)•層状結晶を利用する多機能ミクロ多孔体の合成とナノ空間の修飾(科研費)•新規置換型マイカ群の創製と層間架橋型ナノ多孔体の高機能化(科研費)•膨潤性大粒子マイカ群の体系的創製と層間架橋(一般財団法人信州大学工部若里会研究助成)日本化学会代議員5 μm層間イオンを挟んでシートが積層した構造約1nmの厚さのシートホスト結晶層間化合物インターカレーション膨潤性マイカ結晶とインターカレーション24

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