工学部 研究紹介2018
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研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード酵素・セルロース・ヘミセルロース・酢酸菌・バイオマス•バクテリアセルロースの形状をコントロールした生産培養方法によりチューブ状、シート状、粒状セルロースを生産可能です。•植物細胞壁分解酵素の生産白色腐朽菌Irpeslacteusや、海洋性子嚢菌Pestalotiopsissp.AN-7株など、植物細胞壁成分の効率的分解が可能な酵素を生産する菌を保有しています。遺伝子組換え技術による生産も可能です。•セルロース膨潤能を有するタンパク質を用いたセルロース繊維の微細化Swolleninという酵素タンパク質を用いることで、コットンファイバーの微細化を誘導させることが可能です。•海洋性子嚢菌由来の耐塩・耐熱性セルラーゼ製剤の開発(代表・JST・シーズ発掘試験)•海洋性糸状菌が生産するセルラーゼの耐塩・耐熱性機構の解明(代表・科研費(若手B))•モノコンポーネントセルラーゼによるイオン液体処理セルロースの酵素分解性評価(代表・科研費(若手B))•セルロース高次階層構造に対するセルロース膨潤タンパク質の作用(分担・科研費(萌芽))•麹製造適性に基づく酒造好適米の新たな選抜技術の確立と品種育成(分担・農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業)所属学会:日本応用糖質科学会,日本農芸化学会,セルロース学会物質化学科蛋白質の結晶(約0.2mm)(左)。X線結晶構造解析によって決定したセルロース紡糸装置を構成する蛋白質の立体構造(右)。微生物の動きに合わせてセルロースも網目構造になるセルロースを生産する微生物。黒点がある所がセルロース繊維⽔野研究室研究から広がる未来卒業後の未来像セルロースを作る生物は、植物だけではありません。微生物も作ることができるのです。水野研究室では、微生物に存在するセルロース合成蛋白質(=紡糸装置)に着目し、その機能と性質について研究をしています。この紡糸装置は細胞膜の内側から外側にまたがる様に存在し、セルロースを伸ばしていく部分と、何本かのセルロースを束ねて細胞の外に排出する部分からできています。現在までに、この装置の数と配置の仕方が形状に大きく影響することが分かっています。微生物セルロースは、ナノファイバーや生体適合材料としての利用が期待されています。目には見えない小さな紡糸装置ですが、例えば人工細胞膜上に自在に配置することが可能になれば、多様な太さや長さをもったセルロースナノファイバーを調製することが可能になるかもしれません。このように、微生物の中には、数十億年の進化に裏打ちされた究極のモノ作りのシステムがつまっています。ヒントを求めて目を向けると、まだまだハッとするようなシステムを見つけられるかもしれません。大学での研究分野と社会で活躍する分野とは必ずしも一緒ではありません。化学系・電気機器系・食品系、公務員など様々な分野で、元気に活躍しています。水野正浩准教授東京農工大学大学院連合農学研究科博士課程を修了後、日本学術振興会特別研究員を経て、2017年より現職。専門は、蛋白質のX線結晶構造解析。特に酵素の機能解析を中心に研究を進めている。微⽣物が作り出す“セルロース”〜驚異の紡⽷装置の解明を⽬指して〜1.0 μm1.0 μm【先生の学問へのきっかけ】小さい頃から自然と触れ合うのが好きで、生命化学に関する勉強ができる農学部に進学しました。高校では化学と物理をとっていたので、一部苦労した講義もありましたが、とにかく実験が面白くてしょうがなかったですね。3年生で受講した“蛋白質の立体構造”に関する講義に衝撃を受け、そのままその先生のラボに入り、博士課程まで進学しました。現在は、工学部に所属し微生物が作る酵素の研究をしています。生物が作り出す酵素は、食品分野など様々な分野で産業利用されており、まさに工学部が得意とする“ものつくり”にも密接に関係した研究です。内径:6,8,12mm,⻑さ:Max1m(Φ12mm),5m(Φ6mm)バクテリアセルロース「微⽣物が⽣産する天然のセルロースナノファイバー」セルロースチューブ・・・⼈⼯⾎管材料など20 μm植物細胞壁を酵素を使って有効利⽤Pestalotiopsis23

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