工学部 研究紹介2018
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松澤研究室研究から広がる未来食品製造プラントでの地元特産農産物のブナシメジを利用したきのこカレー(レトルトパウチ食品)の製造実習長野県特産農畜産物を素材に、工学部のバイテク技術、プロセス技術を駆使し商品化した「ながのブランド郷土食推奨品」認定商品近年、地域食品企業は、OEM生産依存によるブランド力不足や、少子高齢化や健康志向による食の多様化に伴う技術開発力不足など、幾つかの課題を抱え、地域食品産業界からの人材養成が強く望まれていました。こうした状況を背景に、信州大学工学部はその特色を生かし、長野市と連携し、文部科学省の「職業実践力育成プログラム」(BP)の認定を受けた「ながのブランド郷土食」人材養成プログラム事業に取り組んでいます。本プログラムは、地域食品製造分野での技術革新を担う人材の創出による経済の活性化と発展をめざし、地域食品企業の技術者を対象とした社会人スキルアップコースとなっています。本プログラムのカリキュラムは、食品バイテク、食品プロセス、食品科学、フードマーケティングなど社会人と大学院生共通の実践的カリキュラムが特徴です。また、共通カリキュラム以外の実践的カリキュラムとして、社会人には、信州大学のシーズを活用し、地元農畜産物を素材に機能性を付与した新製品開発などをテーマとした課題研究が課されています。この様な新製品の商品化を後押しするため、大学の商標と本プログラムのロゴマークを使用できる「ながのブランド郷土食推奨品」認定制度を設けています。既に、課題研究や農産加工実習から誕生した同認定商品が発売され、地域経済の活性化と発展に貢献しています。修了生は自社製品の品質向上に向けた工程改善などの課題発見及び課題解決の能力が、更には高付加価値製品開発と商品化能力が、それぞれ醸成されます。松澤恒友特任教授(株)ロッテ、(社)長野県食品衛生協会試験研究所、(社)長野県農村工業研究所を経て、2008年信州大学工学部教授、2012年より現職。専門は長野県特産農畜産物の高付加価値化研究。⾷品産業分野での技術⾰新を担う⼈材創出により、地域貢献をめざす!研究支援部門研究⽀援(特任教授)信大きのこカレー・ハヤシまるごとりんごジャム信州発えのきヨーグルト研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード⾷の美味しさ・⾷の安全性・⾷の機能性・⾷の利便性・⾷の保存性【先生の学問へのきっかけ】本学部工業化学科を卒業後、チョコレートメーカーでの製造業務、長野県食品衛生協会での食品添加物の分析業務を経験しました、その後長野県経済連の研究所に入所したところ、当時生産量が伸びていたブナシメジの制がん研究を、同研究所と国立がんセンター研究所との共同研究で実施することになりました。1989年、当時の役員が、松澤は化学出身だから、きのこの制がん研究についても多少わかるだろうと、国立がんセンターへの派遣が決定し、私の学問へのきっかけとなるターニングポイントになりました。•長野県特産農産物の高付加価値化研究•きのこの機能性とその利用•食品加工残渣の有効利用•機械で守る信州伝統の味•高品質干し柿の省力化安定生産システム並びに新商品の開発(経済産業省・地域イノベーション創出研究開発事業)•酵素処理による未利用農産加工残渣の高付加価値製品の事業化可能性調査(公益法人との共同研究)•乾燥漬物商品開発のための試作品の分析・検査及び保存試験(民間企業との共同研究)•高リコペントマトと乳酸菌発酵技術を用いた新たな機能性食品の創出(公益法人との共同研究)•果実資源の高度利用に向けた新たな加工・リファィナリー技術の構築(公益法人との共同研究)•長野県産の野菜、きのこ、果実、米を使用した高付加価値レトルトパウチ食品の開発及び商品化に関する研究(民間企業との共同研究)•果実果皮抽出糖蜜液(果皮蜜)を利活用した新商品開発に関する共同研究(民間企業との共同研究)(一社)日本きのこマイスター協会理事長野県農村医学会理事長野県6次産業化プランナー修了後の未来像えのきパイ実用気熱式乾燥機庫内(ハゼ掛した柿)気熱式減圧乾燥機10台(JAみなみ信州市田柿工房)出荷前の市田柿(商品)139

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