工学部 研究紹介2018
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研究支援部門共同研究講座理化学研究所ー信州⼤学連携研究室研究から広がる未来金山直樹准教授博士(工学)(東京工業大学)科学技術振興事業団CREST研究員、名古屋大学助手、筑波大学講師、理化学研究所研究員などを経て2016年より現職。専門は生体関連高分子材料、コロイド・界面化学。【先生の学問へのきっかけ】子供の頃に日本で科学万博が開催されて「科学・技術立国」といったフレーズを頻繁にTVや新聞で目にしていたせいか、気がつくと何となく科学に対する憧れのような感情が自分のなかに芽生えていた記憶があります。そんな漠然とした憧れを持ったまま、地元の大学の工学部に進学して化学の勉強を始めました。4年生に進級し、配属された研究室で厳しく鍛えられながら少しずつ化学の面白さがわかってきた頃、「井の中の蛙ではダメ。外の広い世界を学びなさい。」と先生からアドバイスを頂き、無謀にも他県の大学院(博士課程)に進むと、次第に自分の世界が広がっていきました。博士号取得後に、新しい医療技術を化学のチカラで実現するプロジェクトに関わったことがきっかけで、生物と物質(無生物)のあいだの不思議な世界の存在を知り、強い興味を抱くようになりました。研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード前田瑞夫教授工学博士(東京大学)東京大学助手、九州大学助教授、同教授を経て2001年より理化学研究所主任研究員。2016年より信州大学教授を兼任。専門は高分子化学、分析化学、バイオマテリアル。理研連携研究室は、信州大学と特定国立研究開発法人理化学研究所(以下、理研)の連携・協力協定に基づいて2016年に開設されました。理研は、1917年(大正6年)に創立された日本で唯一の自然科学の総合研究所であり、物理学、工学、化学、数理・情報科学、生物学、医科学などの幅広い分野の研究を進めています。当研究室では、金属ナノ粒子や合成ポリマーなどの人工材料と、核酸やタンパク質などの生体材料を化学のチカラで融合した「バイオ機能材料」を基に、主にライフサイエンスや分析システム開発への応用を目指した研究課題に、学生が中心となって取り組んでいます。「⽣物と物質のあいだ」の不思議な世界を化学の視点で眺め新しいモノ・コト作りに活かす!核酸・タンパクペプチド・糖など合成⾼分⼦・ナノ粒⼦無機・⾦属材料化学的な⼿法で両者を融合した「バイオ機能材料」の開発・評価ライフサイエンス(遺伝⼦治療・診断・イメージング)材料化学・界⾯化学(ナノマテリアル・ソフト界⾯)分⼦システム(分析・計測・制御)⼈⼯材料⽣体材料•科研費基盤研究(S)「DNAソフト界面の特性を活かしたバイオマテリアルの創製」(2013-2018年度)代表(前田教授)•科研費新学術領域研究「ソフトインターフェースの分子科学」(2008-2012年度)領域代表者(前田教授)•科研費基盤研究(C)「DNAブラシ界面間における特異な相互作用の発現に対する水和状態の寄与評価」(2014-2016年度)代表(金山准教授)•科研費基盤研究(C)「DNAブラシ界面間力の表層構造依存性に基づく水和スイッチの創出」(2017-2019年度)代表(金山准教授)•H29年度生体医歯工学共同研究拠点共同研究プロジェクト・代表(金山准教授)日本分析化学会副会長・監事(前田教授)日本バイオマテリアル学会会計担当理事、年次大会長(前田教授)国際バイオマテリアル学会連合フェロー(FBSE)(前田教授)信州コロイド&界面科学研究会幹事(金山准教授)DNA・ナノ粒⼦・ポリマー・ソフト界⾯・バイオ計測・バイオマテリアルDNAを上手に利用すれば、ナノスケールの材料を意のままに操る道具になる!世界に先駆けて超高齢化社会に突入しつつあるわが国では、今後、ますます増加・多様化が予想される医療ニーズに対して、医療の効率化・最適化を図りながら、予防医療・先制医療を実現するスマートなヘルスケアシステムに変革していくことが求められています。例えば、解読が完了して機能解析が進行しているヒトゲノムにおいては、遺伝子の特定の箇所における僅かな配列の違い(一塩基多型:SNP)が疾患の発症リスクや薬剤の感受性に関与していることが明らかになってきています。個人のSNP情報に基づいた「テーラーメイド医療」の重要性が謳われて久しいですが、誰もがSNP診断を受診することのできる簡便で安価なデバイスは未だに実現していません。私たちの研究グループは、人工材料と生体材料を化学のチカラで融合したバイオ機能材料の開発と評価に関する研究を通じて、次世代医療の課題にも挑戦しています。•ナノ粒子やミセルの調製およびキャラクタリゼーション•機能性ポリマーの合成およびキャラクタリゼーション•機能性ソフト界面の構築およびキャラクタリゼーション•DNAナノ粒子を使った診断・計測法の開発•人工材料と生体材料の複合材料(バイオコンジュゲート材料)の開発•光ピンセットを使った界面間力測定136

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