工学部 研究紹介2018
116/148

諏訪盆地における地震動のシミュレーション解析。地震動の到来方向(図の丸印)によって地震動の大きさは大きく異なる⽥守研究室研究から広がる未来卒業後の未来像建築学科地盤の構造により、地震動の大きさは大きく変化します。そのため,地震時の地盤のゆれの大きさを適切に評価すれば,地震災害の低減につながります。また,免震構造を導入すれば、地震時の建物被害を避けることができます。コンピューターを用いて自動設計すれば,構造設計者の労力は激減するにも関わらず,性能の高い建物が設計できます。高度な技術を持った建築構造設計者となるための教育を実施しています。卒業生は、構造設計の他、建築に関わるコンピュータソフトの開発、建築現場での施工管理などにも携わっています。田守研究室では建物の地震被害の低減に向けたテーマに取り組んでいます。(1)地震観測・常時微動測定による地盤構造の推定:地盤の微小な振動を測定することによって、地下数kmまでの地盤構造がわかります。この結果は、地震時の被害予測の推定に利用されます。(3)最適構造設計システムの開発:建物の設計行為をコンピュータプログラムで自動的に行えば、より性能の高い建物が一度に多数設計できます。現在は、免震建物の最適設計システムにより部材断面と免震装置の自動選択ができる段階です。http://tamori.3zoku.com/田守伸一郎教授東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程を修了したのち、1989年から准教授、2017年から現職。研究分野は建築構造学。免震建物・超高層建物の構造設計が適正かの評定も行っている。地震災害低減に向けて、建物の耐震設計法の⾼度化を⽬指す免震建物の自動設計プログラムの概念により設計された建物の性能を数値化した例。右か上に行くほど性能が高い。図中の一つの点が、一つの建物の性能を示す。実施例(構造設計者が設計した建物)より、最適設計された建物の方が性能が高い研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード地盤と建物の動的相互作⽤効果、免震・制震構造物の最適設計、地盤の振動、地域の地震災害予測【先生の学問へのきっかけ】卒業研究で、地盤と建物の振動に関することに取り組んだのがきっかけです。•常時微動測定による地盤構造の推定•盆地構造の地震動の性質に関する研究•地震災害予測システムの開発•免震・制震構造物の最適設計システムの開発•個別要素法を用いた地震応答解析プログラムの開発•地盤と建物の動的相互作用に関する研究•免震建物の最適設計(委任経理金,基盤研究(C))•免震装置の最適配置システムの開発(委任経理金)•異方向性を持つ異常震域の機構解明に関する研究(基盤研究C)•地盤の大歪領域における杭基礎建物の地震入力に関する実験的研究(奨励研究A))•強震地動を受ける杭基礎建物の設計用入力に関する実験的研究(奨励研究A))•弾塑性領域における地盤・建物連成系の層せん断力分布(奨励研究(A))(財)日本建築センター、高層・免震構造評価委員会委員(社)全国宅地擁壁技術協会、工場評定委員会、工場調査委員㈱全国鉄骨評価機構、鉄骨製作工場評価員長野県耐震診断特別委員会委員長コンピュータにより自動設計された免震建物の性能の例一つ一つの点が一つの建物の性能を表している。縦軸が大きいほど建物重量が小さく,横軸が大きいほど地震時の建物損傷が小さい。構造設計者は自分の価値判断をもとにこれらの設計の中から1つを採用する。114

元のページ  ../index.html#116

このブックを見る