工学部 研究紹介2018
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鋼材強度の影響を把握するためのコンクリート床が取り付き、積載荷重が作用する大スパン大梁の実験・数値解析であるサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cmメガトラス大梁の限界性能を評価するために、実大モデル試験体を用いて実験しているサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦7.8cm⾦⼦研究室研究から広がる未来卒業後の未来像建築学科金子研究室では、安心・安全な鋼構造建物を設計するために、建物を構成する要素である鉄骨部材・骨組の耐震性能を評価する研究に取り組んでいます。大きな地震に対しても建物の構成要素が弾性範囲にとどまり健全で安心な鋼構造建物を構築するために、強度の高い鋼材の適用を図る。その構成要素の耐震性能を評価する方法について研究しています。また、大地震で弾性の限界を大きく超えて変形する一般的な鋼構造建物に対して倒壊を防止するために、構成要素の限界性能について適切に評価する方法を研究し、安全な鋼構造建物の構築を目指します。阪神淡路大震災は多くの建物の倒壊・損傷をもたらしました。その後建物の揺れを軽減する制振装置を組み込む建物が多くなりました。金子研究室で行っている研究を通じて、大規模な地震に対しても軽微な損傷や無損傷の鋼構造建物を再使用できる構造設計法の道を広げていきます。また、強度の異なる鋼材の合理的使用は、鋼構造建物の多様な形式の実現につながります。鋼構造建物の生産という面においても生産効率及びコストパフォーマンスの向上が望めます。ゼネコンでの構造設計・施工管理など、構造設計事務所の他、鉄鋼・建材メーカー、鉄骨ファブリケーターなどの主に鋼構造に関わる企業、また研究機関にも道が開けています。金子洋文教授1982年東京工業大学大学院博士課程社会開発工学専攻修了。竹中技術研究所を経て2014年から現職。鋼構造の部材・骨組の地震に対する安全性の評価や、鋼材の制振部材の合理化などの研究を行っている。耐震性能を適切に評価して、建物の安⼼・安全を探求する研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード耐震性能評価・合理的部材設計・構造設計技術・接合技術・損傷制御【先生の学問へのきっかけ】はじめは、鉄骨部材を構成する板要素が曲がりくねって崩壊していく現象を再現したくて、有限要素法に基づく数値解析プログラムを開発していました。そのまま民間の研究所で鉄骨部材の破壊と解析を繰り返しているうちに、阪神淡路大震災が発生し、鋼構造建物の柱梁部材が破断する日本で初めての破壊現象を目の当たりにしました。そして、限界のある部材でも建物を健全に維持できる設計方法を模索するようになりました。•鋼構造建築物の耐震性能向上のための鉄骨柱梁接合部耐力評価技術•高強度鋼部材の建築構造物への適用性検討•鉄骨梁部材の端部破断時の性能評価に対する非線形破壊力学の応用•集成材のボルト接合部耐力評価への破壊力学の応用•鋼材系部材の制振ダンパーへの適用•耐震部材の高効率性能化技術•鋼構造部材の損傷限界と余裕度評価•鉄骨柱梁接合部パネル耐力に及ぼすパネル周辺部の効果(民間企業との共同研究)•高強度鋼薄肉断面梁の変形性能向上技術の開発(民間企業との共同研究)•捩りモーメントを受ける薄肉円形鋼管の塑性変形性能に関する研究(民間企業との共同研究)•球状黒鉛鋳鉄のピンジョイントへの適用技術の開発(民間企業との共同研究)•間伐材の建築構造物への利活用・事業化(民間企業との共同研究)•ノンスカラップ工法による現場型柱梁溶接接合部の変形能力向上に関する破壊力学的研究(科研費基盤研究Bによる共同研究)日本建築学会代議員長野県建築士事務所協会耐震診断判定特別委員会副委員長長野県建築住宅センター構造計算適合判定専門委員全国鉄骨評価機構性能評価業務を実施する評価員111

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