工学部 研究紹介2018
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中村研究室研究から広がる未来卒業後の未来像機械装置・システムの設計は、材料の性質や力学、地球環境への配慮、設計方法など多くの知識が総合される過程です。機械の軽量化や高効率・高性能化、エネルギー・資源の使用量低減には最適化が欠かせません。製品の製造から使用・廃棄、材料の再利用、安全の保証まで、物づくり全般における環境適合設計が必要となります。研究室では“調和”を実現する「最適化」の技術、“未来”を創る「設計」の技術をキーフレーズとして、機械工学や光工学分野の各種最適設計や最適化手法、エコデザイン、インテリジェントネットワークなどを研究しています。中村研究室(最適設計研究室)では、学生個々の興味に応じて研究分野を選び「最適化」の研究に取り組みます。最適化の技術は、エネルギーや資源を有効に利用していくために必須の技術です。世界中で推進されている環境適合設計や、超高速コンピューターを利用したモデルベース開発は高度で効率的な開発を実現するだけでなく、地球環境を守りつつ、安全安心を保証するために欠かせない道具となっています。卒業・修了生は自動車・電機・建設機械・医療機器・カメラ・情報機器メーカー、空調設備、企業の研究所、研究職・行政職公務員など広範な分野で、設計・開発技術者、研究者として活躍しています。約8割の学生が大学院に進学します。中村正行教授長野県精密工業試験場勤務の後、信州大学助手、助教授を経て2006年より現職。専門は計算力学、設計工学。主な講義科目は「材料力学」「光工学」「機械制御学」「最適設計学特論」。“調和”を実現する「最適化」の技術、“未来”を創る「設計」の技術微細構造光波解析、ネットワーク解析、非線形構造解析、熱伝導、音場など様々な対象の数値解析を駆使して最適設計を行う研究テーマはロボット動作、太陽光利用、光学多層膜最適化、歯車機構、有機EL、植物栽培、インテリジェントネットワーク、LCA等。チーム最適化(最適家)は熱い議論と笑顔にあふれている機械システム⼯学科研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード最適化・最適設計・数値解析・光学多層膜・逆解析・材料特性値同定【先生の学問へのきっかけ】父親が農業機械の販売・修理と開発・製作の仕事をしており,子どもの頃から身近にさまざまな機械部品や工作機械,分解されたエンジンなどがあり,作業場は遊び場でした.機械工学がイメージしやすい環境でした.大学の研究では数学と物理学を便利に使って,実験装置はコンピュータの中に作り上げて(プログラミングして)進めています.実現象からまだ実現できていない“未来”までを,目に見えるように表現できる学問はおもしろい!•微細構造の光学解析(光学フィルター,光学デバイス,化粧粒子,微粒子分散)•光学多層膜構造の最適設計(遮熱フィルム,超多層薄膜構造,フィルター)•機械材料の材料物性値同定(弾塑性材料特性値,押込み試験による物性値取得)•最適動作の生成(ロボットの歩行,マニピュレーター軌道,リンクメカニズム)•誤差の大きい測定データからの真値同定逆解析,適切化,データ同化•歯車列の最適設計・自動生成•自然エネルギー利用の電力供給最適化•太陽光パネルの最適配置(不定形地,斜面,日影考慮)•非線形材料特性値同定解析(共同研究)•光学素子薄膜構造の最適設計手法の開発(共同研究)•高分子多層フィルムの最適設計(共同研究)•遺伝的アルゴリズムを用いた逆問題解析に関する研究(科研費)•熱磁気モータの開発(科研費)•半導体圧力センサーの応力解析(受託研究)•発光プラスチックの改良(受託研究)•材料挙動の高精度解析のための実験値に基づく構成式同定(助成金)•採光プラスチック形状の最適設計(助成金)技術講習会講師(光学薄膜最適設計,材料力学)/教育・環境関連の審議会,委員会(高等学校改革プラン懇談会座長,高校改革プラン推進委員会委員長,市環境審議会会長,市キャリア教育支援懇談会会長,長野広域連合ごみ処理施設建設事業者等選定委員会委員長,市健康づくり推進審議会会長)/青少年のための科学の祭典運営とブース出展,出前講座,キッズサイエンス実施,工作教室,教員研修講座等2足歩行ロボットの歩行動作生成アルゴリズム障害物を跨ぐ,乗り越える,歩行速度を変えるなど,環境に対応して歩行パターンを生成.エネルギー最小・歩行速度最大化などの多目的最適化問題を解いている.ロボットハンドや多リンクメカニズムの動作生成に応用できる.超多層フィルムの構造設計高分子フィルムを数百から数千層重ねた超多層構造により透明でありながら熱線を遮断する遮熱フィルム構造の最適値を導出できる設計システムを開発.スペクトルより可視光域で透過率が高く(透明),近赤外域で低い(遮熱).ダンボール変形解析有機EL射出光設計歯車機構創成電力需要系統電源太陽光,風力自然エネルギー利用電力供給システムバイオマス蓄電池充電発電太陽光利用106

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