工学部 研究紹介2018
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0-5050⻄村研究室実際には見ることが出来ないナノスケールの変形を計算機実験により検討できる。図は、欠陥を有するCNTのねじり・曲げ解析材料内部で生じる複雑な原子構造変化なども、計算機シミュレーションによって解明できる。図は、金属ガラスに対する押し込みシミュレーションにおける原子ひずみ分布(a) Depth = 2nm(b) Depth = 4nm(c) Depth = 5nm50nmAtomic strain, γ 0.0 0.5研究から広がる未来卒業後の未来像機械システム⼯学科技術発展に伴う製品の小型化により、材料に求められる寸法はどんどん小さくなっています。ナノスケール材料とは、材料寸法が数ナノメートル[nm](=10-9[m])であったり、特徴的な構造がnmレベルに存在するような材料です。材料寸法が小さくなると相対的に原子一つ当たりが占める割合が大きくなるので、材料を原子の集合体として評価する必要があります。そこで本研究室では、原子間に生じる相互間力を分子動力学法という計算手法を用いて評価し、材料の変形をシミュレーションすることで、ナノスケール材料の変形メカニズムについて検討しています。西村研究室では、計算機シミュレーションにより、様々なナノスケール材料を検討しています。例えば、新炭素材料であるカーボンナノチューブ(CNT)は、半径が数ナノメートルの円筒形状をしている代表的なナノスケール材料です。また、結晶化していない金属ガラスは、数原子程の短距離秩序しか持たない材料です。原子レベルからの変形メカニズムを理解することで、これらの新材料がさらに発展し、我々の身近な材料となることが期待されます。卒業生の進路は、自動車メーカーや家電メーカーなどと多岐にわたります。本研究室で培われる材料変形の理解力や計算機を用いたシミュレーション技術の体得は、社会に出てからも役に立ちます。西村正臣准教授2009年神戸大学大学院自然科学研究科博士課程修了。信州大学工学部助教、講師を経て、2017年4月より現職。研究分野は分子動力学、計算固体力学、材料力学。ナノスケール材料の固体⼒学原⼦レベルから変形メカニズムを理解する10nm14.413.415.4Atomic shear stress [GPa]Atomic bending stress [GPa]Lattice defect研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード【先生の学問へのきっかけ】小さい頃から機械に興味があり、機械工学の道に進みましたが、大学に入ったものの、機械工学の中で最も興味がある専門分野を決めきれずにいました。そんな中、固体力学の授業において、ものを作るためには材料がなくては始まらない。材料力学、固体力学は機械工学の土台であるといったような内容をご教授いただきました。それまで、材料研究は機械工学の中でも地味なイメージしか持っていませんでしたが、その言葉に導かれ研究を始めてみると、実験やシミュレーションによる材料特性の評価、予測など非常に興味深いものでした。計算固体⼒学・分⼦動⼒学・不安定性解析・カーボンナノチューブ・⾦属ガラス・アモルファス材料•カーボンナノチューブの座屈特性に関する不安定性解析•CNT/ポリマー複合材料に関する分子動力学解析•金属ガラスにおける変形の局所化の解明•シリカガラスにおける変形および熱依存性に関する原子シミュレーション•炭素繊維破壊のシミュレーションとメカニズム解明(民間企業との共同研究)•金属ガラスの変形・破壊の分子動力学シミュレーション:局所格子不安定性による検討(科研費(特別研究員DC1))•レーザー超音波を用いた多層構造燃料電池セルの密着強度・靱性評価法の開発(科研費(基盤研究A)分担)•局所不安定性解析を用いた欠陥を有する多層カーボンナノチューブの座屈特性評価(科研費(若手研究B))日本材料学会代議員日本材料学会北陸信越支部常議員、長野県幹事Zr55Cu30Ni5Al10Zr60Cu25Ni5Al10研究室計算機シリカガラスの押し込み解析における残留応力分布金属ガラスの変形の局所化CNT/ポリマーの圧縮解析5nm102

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