繊維学部研究紹介2016|信州大学
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松村研究室遺伝子実験部門の松村研究室では、この数年で著しい技術革新が行われているDNA配列の解析技術を活用して、作物の品種改良(育種)に貢献するための研究を行っています。このような新しい技術によって、作物の全DNA配列(ゲノム配列)を解析することも容易になっていますので、農作物の品種間の違いや、各々品種が持つ特性の違いがどのようなDNA配列の違いによるものかを解明することができます。当研究室では、イネ、クワから、沖縄県との共同研究による熱帯作物までを取り扱い、効率的に新しい品種を育成するための基盤となる研究を行っています。遺伝子実験部門の松村研究室では、できるだけ最新のDNA解析技術や、その情報を取り入れて作物の品種改良に貢献することを目指しています。作物の種類によって生殖(交配)の方法、病気、環境から受けるストレスは異なっています。ゲノム情報を活用することで今までよりも短期間に品種を育成して、環境の変化に対応した、食料の安定確保ができるようにしたいと考えています。ゲノム解析の技術は全ての生物に共通ですので、研究内容に関連した種苗、食料関連の業界だけでなく医薬等の業界などでも活躍できるような知識、経験を身につけてもらいたいと思っています。松村英生准教授 岩手生物工学研究センター主任研究員を経て2010年1月より現職。研究分野は遺伝子の発現などを大規模に解析する機能ゲノム学や植物の遺伝的な改良を研究する育種学。DNAシークエンサーを使って単離したDNAの塩基配列を決定することができます沖縄県との共同研究で、パパイヤの性(雌雄)決定のメカニズムの解明についても研究を行っていますサイズW3cm×H2.65cm配置位置横0.5cm、縦7.42cm卒業後の未来像研究から広がる未来遺伝子実験支援部門ゲノムの持つ情報を食料生産に活用する小笠原研究室肉眼では見えないミクロの世界で、単細胞の細菌はどのように生活しているのか---自然環境下で、多くの細菌は集団で生活し、その中でお互いにコミュニケーションを取り合っていることが分かってきました。当研究室ではプラスチックや金属など、固体表面に付着した細菌が増殖を始め、やがて多細胞生物のように集団化するまでの過程で、どの遺伝子をどのように働かせているのかについて研究を行っています。このように、細菌が集団化する仕組みを理解することで、将来的には工業や医療の分野で問題を引き起こす細菌たちを標的とした、薬剤の開発にも役立てたいと考えています。日々進歩する遺伝子解析技術により、今では有用菌から有害菌まで、多くの細菌種で全ゲノム配列が決定されています。その中には、私たちの生活を向上させるために役立つ様々な情報が沢山含まれていますが、細菌はこれらすべての遺伝子機能を、いつも働かせている訳ではありません。細菌が状況に応じて遺伝子を働かせる仕組みを知ることで、個々の細菌の持つ能力を最大限に利用することも可能となります。社会的ニーズの高いバイオテクノロジーの知識や技術を学べるので、就職先としては食品メーカーや製薬メーカー、その他バイオ系企業等が考えられます。小笠原寛助教法政大学マイクロナノテクノロジー研究センター研究員、法政大学生命科学部研究員を経て、2011年より現職。研究テーマは、細菌のバイオフィルム形成に関わる遺伝子発現ネットワークの解明。遺伝子の働きが活性化される培養条件の検討。細菌は、外部環境の変化に応じて瞬時に遺伝子の働きを調節する能力を持っている研究から広がる未来卒業後の未来像枯草菌の電子顕微鏡写真。多くの細菌は集団で生活しているゲノム情報を基に、細菌の集団化に関わる遺伝子を詳細に解析遺伝子実験支援部門ミクロの世界の集団生活。ゲノム情報から見えてくる細菌の生存戦略とは?60

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