繊維学部研究紹介2016|信州大学
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服部研究室服部研究室では、蛍光性ナノカーボンを合成する研究や、ナノカーボン(カーボンナノチューブ・グラフェン・カーボンナノホーンなど)をエネルギー貯蔵デバイス(リチウム1次電池、リチウム2次電池、スーパーキャパシタ)へ応用する研究を行っています。また、フッ素化学の手法によりナノカーボンの表面化学修飾を行い、電池・キャパシタ用電極の性能向上を目指しています。さらに、カーボンナノホーンをフッ素ガスの貯蔵材料に利用し、フッ素ガス供給デバイス開発につながる研究を行っています。基礎から応用まで、幅広い視野で研究を展開しています。リチウム2次電池やスーパーキャパシタは、電気自動車の駆動用電源に利用されようとしています。蛍光性のナノカーボンは、次世代のバイオイメージング材料などへの応用が期待されています。フッ素ガスは、環境にやさしく、省エネルギーの半導体用クリーニングガスとして実用化が強く望まれています。ナノカーボンを通じて環境・省エネ技術に貢献し、日本の命運を握るサイエンスを自ら切り開きませんか?研究室に所属する学生の多くが、大学院へ進学します。化学系企業、特にカーボン材料、電気化学、フッ素化学に関係する企業への就職が多いです。教員や公務員を目指す人もいます。服部義之准教授千葉大学理学部産学官連携研究員、信州大学繊維学部講師などを経て現職。カーボン科学と無機フッ素化学の基礎研究。ナノカーボンを電極材料および吸着材料へ応用する研究。光るナノカーボン。蛍光性ナノカーボンの合成に成功した。イメージング材料などへの利用が期待されるポーラスカーボンナノシートの合成に成功。キャパシタや高出力リチウムイオン2次電池用電極として期待される研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科応用分子化学コースナノカーボンから新たな発光材料やエネルギー貯蔵材料を開発する平田研究室ペットボトル等に代表される合成樹脂の高分子膜には、実は非常に細かい隙間が空いています。と言っても、液体は通さずにわずかな気体を通す隙間ですが。この気体の通りにくさ(バリア性)を100万倍ほど高めて、電子材料向けのバリア材ができないかという研究を進めているのが平田研究室。実現すれば、液晶テレビや携帯電話の画面がガラスからプラスチックに切り替わり、価格を抑えることまで可能になります。またガラスよりも薄く、軽く、柔らかいため、破損する可能性も低くなるほか持ち運びも便利になるので用途も格段に広がるという、いま注目の研究分野なのです。バリア性を高め何も通さない高分子膜を開発する一方で、「特定の物質だけを通す」高分子も研究中。この特性を活用すれば、大気から酸素のみを取り出したり、海水を真水に変えるといったことも可能に。人工透析など医療の現場での利用も考えられています。またこの技術は私たちの生活に直接生かせるものだけでなく、研究者が実験を行う際にも非常に役立つ技術でもあり、多くの開発にひと役かっているのです。主に化学系メーカーなどへの就職が多い平田研究室。一方、高分子や膜の製作から評価に至る一連の過程を体験することで、物事を広く見る目を養えることから、業界を超えた幅広い研究分野で卒業生が活躍しています。平田雄一准教授明治大学理工学部専任講師、フランス国立農業研究所博士研究員、信州大学繊維学部助手等を経て、2010年より現職。主な研究分野はバリアフィルムや分離膜、染色化学等。研究から広がる未来卒業後の未来像左が塩水、右が真水で、間にあるフィルムを通して塩分がどれだけ真水側に移動するのかを、塩分濃度計で測定するサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm酢酸セルロースをアンモニアで煮て、高分子の変化を探るサイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦22.2cm界面活性剤による膜の作製も学生が取り組んでいるサイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横14.9cm、縦22.2cm化学・材料学科応用分子化学コースペットボトルを水が通り抜ける!?そんな高分子膜の謎を紐解く47

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