繊維学部研究紹介2016|信州大学
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森研究室現在市販されている太陽電池はほとんどシリコンという材料から作られています。しかし高純度の結晶で複雑な構造をつくるためには大きなエネルギーが必要です。一方酸化チタン(日焼け止めクリームなど)、ヨウ素(消毒液など)、色素(ブルーベリーとか)を混ぜて塗るだけでも太陽電池がつくれます。そしてそんな材料で作った太陽電池のエネルギー変換効率は高く、さらなる効率向上を目指して世界中で多くの大学と企業が研究開発を行っています。森研究室でも高効率太陽電池の開発と、電子移動メカニズムの解明に取り組んでいます。自然エネルギーの代表である太陽光。太陽光から電気エネルギーに変換する太陽電池の普及には製造コストと材料コストを下げつつ、高い変換効率を達成しなければなりません。色素増感太陽電池や有機薄膜太陽電池はそんな低コスト高効率次世代太陽電池として期待されています。また電子移動メカニズムの解明を通して、安価な材料を用いた新しい高性能デバイスが設計できるようになると考えられます。材料メーカー、デバイスメーカー、電気メーカーなどに就職しています。太陽電池に限定されることなく、本質的な視点から材料やデバイスの設計と開発ができる人材となることを期待しています。森正悟准教授ノキア・ジャパン株式会社や信州大学繊維学部助教を経て、2009年より現職。色素増感太陽電池や有機薄膜太陽電池、半導体や界面での電子移動が研究分野。さまざまな色素の溶液とその色素から作製した色素増感太陽電池。デザインの良い太陽電池の作製も可能大掛かりな装置が無くても太陽電池の作製が可能研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科ファイバー材料工学コース身近な材料を混ぜて塗ってみたら高効率太陽電池!嶋田研究室木材や藻類などのバイオマスは、光合成により大気中の二酸化炭素を吸収しながら成長します。そのため、バイオマス由来の燃料は使用しても大気中の二酸化炭素濃度を増加させず、カーボンニュートラルなエネルギー源として期待されています。しかし、バイオマス資源のエネルギー利用実現のためには、エネルギー変換技術の高効率化が不可欠です。当研究室では、バイオマスからの燃料製造やその燃料を用いたエネルギー変換の高効率化を目指し、実験的検討とモデル計算の両面から反応機構の詳細な解明や新規の高活性触媒の提案に取り組んでいます。再生可能エネルギーであるバイオマス資源を用いたエネルギーシステムの構築により、化石燃料などの枯渇性資源に頼らない、クリーンで持続可能なエネルギー社会の構築を目指します。さらには、バイオマスからの様々な有用物質の合成手法を構築することで、現在石油資源から合成されている多くの化学製品の代替も可能となります。まずは学生の間に研究を思い切り楽しんでもらいたいです。そして化学工学や物理化学に関する十分な知識や技術を習得するとともに、いろいろな観点から物事を考えられる力を身につけ、卒業後も多様な分野で活躍してもらいたいと考えます。嶋田五百里助教東京大学大学院新領域創成科学研究科を修了し、博士(環境学)を取得。日本学術振興会特別研究員(DC2)を経て、2013年4月から現職。専門は反応工学。研究から広がる未来卒業後の未来像バイオマス資源のエネルギー利用。様々な触媒反応が用いられており、その反応の高効率化が実用化のカギとなる。CO2気体燃料液体燃料有用物質移動用燃料燃料電池H2O2H2OH+e-触媒反応による物質変換バイオマス資源触媒反応によるエネルギー利用固定化光合成化学・材料学科ファイバー材料工学コースバイオマス資源の有効利用で持続可能社会の実現を目指す34

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