繊維学部研究紹介2016|信州大学
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小林研究室生物にとって水や空気などの流体はとても大切であり、生物と流体は密接な関係にあります。その中で、小林研究室は「生物の遊泳」と「血流」について取り組んでいます。「生物の遊泳」では、生物の巧みな遊泳を詳細に調べてロボット化に有効なメカニズムは何かを発見し、新しいロボットを創成しています。また、「血流」では、心筋梗塞や脳梗塞の原因でもあるアテローム性動脈硬化症について、動脈硬化斑(プラーク)の破綻メカニズムを、模擬血管を使った実験とコンピュータを用いた数値計算によって検討しています。水棲生物は様々な環境で生息しています。その生物のメカニズムを応用することで、従来のロボットでは難しい、泥の中や、大震災後に問題となった海藻・ロープ・瓦礫が沢山ある海中など、厳しい環境で作業するロボットの実現に寄与するでしょう。また、血流の研究では、患者毎のMRIなどによる医用画像から、動脈硬化斑の脆弱度を即座に数値化する診断支援システムとして発展できるでしょう。研究の関係から、医療機器の企業に就職する学生もいますが、多くは精密機械・自動車・電機・情報通信など、多岐にわたる企業に就職しています。もちろん、公務員になったり教育研究機関の研究者への道を歩む学生もいます。小林俊一教授信州大学繊維学部講師、助教授、准教授を経て2009年から現職。1996-1997年、ジョージア工科大の研究員の時に血流の研究をスタート。現在も国際共同研究として取り組んでいる。研究から広がる未来卒業後の未来像ゴカイの泳ぎを調べて開発した全方向遊泳が可能なロボットアテローム性動脈硬化症のモデル実験と数値計算魚の尾びれのしなやかな動きに注目したフィン。フィンの剛性をリアルタイムで変化させ、推進性能の向上をはかる機械・ロボット学科バイオエンジニアリングコースバイオと流体で、ロボット開発と医療に取り組む西川研究室「柔らかさと巧みさを生物から学ぶバイオロボットの研究」と「ヒト内部に低侵襲(ていしんしゅう)でアクセスするメディカルロボットの研究」が、西川研究室の2本柱です。具体的には、生物の生命活動の源とされるゆらぎを用いた人体模倣型ロボットの制御、生物のようにしなやかな動きができるソフトアクチュエータを用いた大腸内視鏡ロボットや手術ロボットハンドの研究、経頭蓋磁気刺激治療の在宅化を目指した研究、人体の計算解剖学モデルに基づく機能的電気刺激によるリハビリ支援など。ロボット開発を通して人体を科学し、次世代高度医療への展開をはかります。生物のようにしなやかに動く体内ロボットやヒトの手の動きに近いロボットハンドが現実になれば、「全然痛くない大腸内視鏡検査」、「傷跡がどこにもみあたらない内視鏡手術」、といった今までは難しい未来も考えられます。また人気の高いマッサージ師の指の動きを記憶させ、ホームロボットで再現させるといったことも。「メカはヒトにどこまで近づけるか」が西川研究室のテーマなのですが、その技術を生かせる場所は多岐にわたっています。自動車・ロボットなどのメカトロ機器を設計・製造するメーカーや、医療機器メーカー、発電プラントなどのエネルギー関係、あるいは、プログラミングをするIT関連への就職等。ロボット工学はあらゆる知識を必要とするので、進路も多彩になります。西川敦教授大阪大学を卒業後、大阪大学基礎工学部助手、大阪大学大学院基礎工学研究科准教授を経て、2010年より現職。筋骨格ロボットをはじめとした生物学、医学、機械工学、ロボット学の融合分野に興味を持っている。研究から広がる未来卒業後の未来像伸びたり曲がったりする様子は生き物のよう。ぐねぐねした大腸の中を自走したり、優しく臓器をつかむ医療ロボットへ応用しますスイートスポットを刺激できれば、難病治療にもリハビリにも生物に学べば、柔らかく握る・掴むという動作も思いのままサイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横14.9cm、縦22.2cm機械・ロボット学科バイオエンジニアリングコースバイオ・メディカルロボットで人体を科学する25

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