繊維学部研究紹介2016|信州大学
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高寺研究室研究から広がる未来卒業後の未来像和田研究室デザインにおいては、理論化された知識や方法(形式知)と、伝承しにくい目利力や創造の瞬間の力(暗黙の知識)の双方を、開発・マネジメントに活かしていかなければなりません。開発研究を通じ、言わばこの【論理×感性】を探求し続けています。デザイン開発歴:世界初のMini-Discプレーヤーを初め、生活用品から医療機器、そしてアドバンスデザインまで。デザインと言うモノ作りの統合化の過程の中から、商品開発だけでなく、システムや技術や研究の開発場面においても、新たな視点、提案が現実に行われてきています。デザインを新たな実践科学と捉えなおし、未来へ向けて様々な試みが発信されてゆく、そのような実験の場、或いは魅力開発の場として、希望が実りに生まれ変わって行くと考えています。技術開発であれ、素材研究であれ、また商品開発であれ、自らプランニングが行え、プロデュースを実行するような、プランナー、エンジニア、デザイナーと言ったカテゴリーを超えた存在になれるよう希望しています。和田功教授パイオニア(株)デザイン室勤務、ソニー(株)デザインセンター勤務、ワダデザイン・代表を経て、2012年10月より現職。主な研究分野は、プロダクトデザイン、商品計画における開発・研究。「見えないモノを、見えるようにする」を実践した「見えない音を見えるカタチでコントロールする」という新機軸の作法がそのまま商品として具現化した、遠隔地の相互会話・会議システムです。ヤマハ(株)PJP-25URアシタ・プロジェクト:明日生まれてくる子ども達が、いつか使っているだろう道具や環境、仕組みを提案してゆくプロジェクトを、学生と共に取り組んでいます。先進繊維・感性工学科感性工学コース「デザイン」、それは新たな実践科学~【論理X感性】が拓く未来~佐古井研究室体温に影響する環境側の要素には、気温だけでなく日光やコタツなどの熱放射、扇風機などの気流、湿度、衣服があります。特に衣服や気流は環境の温度を変えず、好みに合わせて暑さ寒さを調節できます。佐古井研究室では、衣服や気流を有効に活用していくため、身体からの熱・湿気輸送現象の測定、その装置開発や数値シミュレーション、それらを入力として身体の温度分布を予測する数値人体モデルの開発、身体を水の蒸発によって冷やす冷却服の開発、熱中症と衣服や気流の関係の解明などに取り組んでおります。物理的には「熱・湿気輸送」の解明、生理・心理的には「体温や汗と暑さ寒さの対応」の解明に取り組んでおります。部屋全体を暖める、冷やすといったこれまでの暖冷房は、多くのエネルギーを消費してしまいます。衣服や気流により、個々人の周りのみにおいて好みにあう微気候を形成できれば、夏冬のエネルギー需要を無理なく抑制でき、エネルギー不足の解決に繋がります。また、気温が同じでも、湿度や着衣、気流、日射などによって熱中症リスクも異なります。衣服や着衣などを活用し、エネルギー消費を抑制しつつ、良好で安全な居住環境を実現していきます。これまでの卒業生は住宅メーカーや保険会社の大手に就職。研究室では、与えられた研究課題を行うというよりむしろ、社会へ出る準備として、未知の研究課題への取組み、特に考えて工夫することを通じて、自分で考えて行動できる自主性を養うことに重点が置かれている。佐古井智紀准教授東京大学生産技術研究所、産業技術総合研究所、信州大学国際若手研究者育成拠点助教、講師を経て、2015年より現職。温熱環境評価や温熱生理反応解析で、3件の空気調和・衛生工学会賞などを受賞。研究分野は温熱環境工学。水分蒸発による冷却を利用した冷却衣服の実験風景。温度が高く風だけでは快適にならない環境でも十分な冷却効果が得られる写真サイズ高さ2.65cm×幅3cm配置位置横0.5cm、縦7.42cm感性工学課程繊維・感性工学系研究から広がる未来卒業後の未来像気流、気温、熱放射、それぞれ効果を測定する装置の開発シミュレーションにより、気温分布や体温分布などを予測写真サイズ高さ4.35cm×幅3.6cm配置位置横15.3cm、縦2.85cm先進繊維・感性工学科感性工学コース暑さ・寒さと熱の科学。衣服や気流を活かして好みの熱環境を15

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