繊維学部研究紹介2016|信州大学
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高寺研究室生活に最も身近な衣服とテキスタイルを中心に「人の心を動かす価値」の解明を行っています。感性工学・ファッション工学の観点から、衣服の設計・評価方法を研究することにより、製品に対する評価や好みを決定する要因を探ったり、新しい価値を持つ製品の開発をしています。人の感性を科学することによって、新製品や新規ビジネスのきっかけとなる研究や、ものづくりの川上から川下までを考慮したものの設計・生産システムを研究しています。また、製品や設計の国際比較を通じて、設計・生産・市場のグローバル化に対応するための産業のありかたについても研究を行っています。繊維から糸・糸から布・布から衣服までの一貫した流れをコンピュータ上で設計・シミュレーションすることができるようになると、消費者のニーズに合った衣服を効率的に生産することが可能になります。将来は衣服だけでなくカーシートや工業用繊維製品など、多分野への応用が期待されます。また、開発中の自動立体裁断システムを用いることで、より手軽で安価にオーダーメイドの衣服の製作が可能であり、将来は個人対応のシステムが普及していくでしょう。メーカーの商品企画や開発担当の技術者、教育機関、製品試験機関、研究所等のほか、感性工学の専門家として、情報メディア、家電、住宅機器等で活躍しています。高寺政行教授信州大学繊維学部助手、講師、助教授を経て、2006年より現職。主な研究分野はテキスタイル、アパレルの設計・評価とファッションにおける感性工学の応用。研究から広がる未来卒業後の未来像「繊維から糸・糸から布へ」設計やデザインをコンピュータ上で上段:実物下段:シミュレーション三次元計測を用いた衣服設計と衣服パターンと物性を考慮した衣服シミュレーション見た目・着心地・風合いの評価方法の開発先進繊維・感性工学科感性工学コース感性に科学的なアプローチあなたの好みの衣服には理由がある細谷研究室何気なく選んでいるソックスにも履き心地の善し悪しがあり、それによって疲労度も変わってきます。そんな履き心地を数値化して考えているのが、細谷研究室。着用時の圧力の変化等を計測し得たデータは、メーカーがソックスを作る際に素材や形状、伸縮性等を決めるための重要な資料になっています。その成果は左右非対称で伸縮性に変化を付けた「疲れにくいソックス」として実際の商品に!他にもシューズやストッキングなどの商品を企業と開発し、いくつかの商品が旅立って行きました。今までにない心地良さを感じられるアイテムが、もっと増えていく予定です。研究から広がる未来卒業後の未来像商品に付加価値を与える感性工学。身につける物以外にも、携帯電話のキーのタッチなど私たちが日々触れる物すべてに生かされており、求められる分野はまだまだ沢山あります。このような研究が進めば、人が自分に合う商品を選ぶのではなく、体温に応じて繊維の太さが変わって温度調節ができるシャツなど、商品のほうが利用する人に合わせて状態を変化させるといったことも夢物語ではありません。感性工学の知識を生かせる分野が広いので、学生の進路も多岐にわたります。アパレルはもちろん各種メーカーに就職する学生が多く、中には金融業界や広告業界に進み、「人と人・人とモノ」の関係性を探る学生もいるそうです。細谷聡教授信州大学繊維学部助手、准教授を経て、2015年より現職。主な研究分野は感性工学、人間工学、スポーツ工学など。多くの企業と共に研究を進め、実際に商品化されたモノも多い。上は普通の靴下。下が商品化された、足の形状に合わせた靴下サイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦16.8cm心電図を身体に装着し、下着着用時のストレスをデータで解析サイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横14.9cm、縦16.8cmトレッドミルを使いソックスの衣服圧の変動を測定。足に圧力センサーを付け圧の変化で履き心地を数値化し、データを解析するサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦7.8cm先進繊維・感性工学科感性工学コースデータが裏付ける「心地よさ」を商品へ14

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