信大NOW99号
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17信州大学アクア・イノベーション拠点(COI)が、ナノ構造制御カーボン水分離膜を開発信州大学アクア・イノベーション拠点は2016年4月、従来のDiamond-Like Carbon(DLC)膜より柔らかい炭素ベースの水分離膜を新たに開発したという成果が、英科学誌Nature系の専門誌「NPG Asia Materials」に掲載されたことを受け、記者会見を行いました。本拠点では、文部科学省と国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が推進するCOI STREAM(革新的イノベーション創出プログラム)の下、世界的な課題となっている安心・安全な水の確保に貢献するため、革新的な造水・水循環システムの構築を目指しております。今回の研究成果もその一環で得られたものです。信大COIの研究チームは2015年9月、ポリアミド(PA)にカーボンナノチューブ(CNT)を添加して革新的な複合化RO膜を作ることに成功したことをプレス発表しましたが、今回、開発された水分離膜は、新規な膜形成手法(ドライプロセス)によるもので、最大96%という高い脱塩性能を持ち、添加する窒素の量を調整することにより、脱塩性、透水性、耐塩素性を最適化できることを発見しました。スーパーコンピュータを使ったシミュレーションでもその有効性を確認しており、資源開発など厳しい条件下での水処理膜として実用化できる可能性があります。今回のプレスリリースも、これまでと同様、COIプログラムを推進する科学技術振興機構(JST)との共同発表です。記者会見は8日午後2時から、信州大学長野(工学)キャンパス内の国際科学イノベーションセンター(AICS)2階のセミナースペースで開かれ、遠藤守信(COI研究リーダー、信州大学特別特任教授)、JOSUE ORTIZ-MEDINA(信州大学COI研究員)、北野宏樹(北川工業、信州大学COI研究員)、RODOLFO CRUZ-SILVA(信州大学カーボン科学研究所特任教授)、荒木拓海(高度情報科学技術研究機構)の5人が、報道機関に説明を行いました。遠藤守信(COI研究リーダー、信州大学特別特任教授)記者会見の会場で実施された、脱色透水実験。青い色素の入った水が、ドライプロセスで制作されたナノカーボン膜を透過すると、透明な真水になることを実験で確認した。報道機関に説明記者会見の様子

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