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果が最大化できるようこれからの進め方を工夫して欲しい」などと述べました。阿部副社長は「日本流イノベーションの創出」と題し、東レの研究・技術開発戦略を中心に、「研究者の自由裁量」「超継続」「分断されていない研究・技術開発組織」「産学官連携研究の推進」などの特長について解説。そのうえで、カーボン・ナノチューブ(CNT)を通じた遠藤守信特別特任教授との交流や、逆浸透膜(RO膜)における研究・技術開発の歴史を紹介し、「大学に挑戦的な研究、探索的な研究が求められる中、信州大COIは、ナノカーボンの材料と有機物を組み合わせ、革新的な膜を作ることに取り組んでいる。(ソフトDLC膜など)有機物の延長線上ではない、不連続な特性、ジャンプを期待している」と語りました。また後半には、プロジェクトリーダーの上田新次郎・日立製作所産業水統括本部・技術最高顧問、COI研究リーダーの遠藤守信・特別特任教授、COI-S研究リーダーの高橋桂子・海洋研究開発機構地球情報基盤センター長による進ちょく報告も行われました。上田プロジェクトリーダーは、ナノカーボンを使ったRO膜による海水淡水化の効果について、「高速透水性による造水量増と耐ファウリング性による水処理工程の簡略化などで、エネルギーコストを3割削減することを目指す。これが出来れば業界でも大きなインパクトを生むはずだ」と主張。遠藤COI研究リーダーも、ナノカーボンを用いたRO膜の研究・開発の最前線について報告し、「フェーズ1で取り組んだ、ゼロから1を生みだす段階を乗り越え、今は頭を切り替えて、1からNを生む取り組みに傾注している。バックキャスティングにより、よい膜を作り、農業や工業、水が原因で病気になる途上国の現状を変えるために貢献していきたい」と語りました。また、高橋COI-S研究リーダーは、大気、陸、海、地下水を統合した水循環のシミュレーションモデルを構築したことを報告し、「今後はいくつかの土地に展開し、湧水を生かした提案など、都市計画を科学的に作ることなどで社会実装の形を探っていきたい」と述べました。会場には、拠点活動の成果を紹介するポスターも展示され、研究者が出席者と交流する姿も見られました。プロジェクトの進ちょく報告 「エネルギーコストの3割削減を目指す」(上田PL)阿部・東レ副社長「革新的なRO膜、ジャンプに期待」箱山さん「夢や希望を明確に持ち、努力を」COI-S研究リーダーの高橋桂子・海洋研究開発機構地球情報基盤センター長プロジェクトリーダーの上田新次郎・日立製作所産業水統括本部・技術最高顧問 COI研究リーダーの遠藤守信特別特任教授 基調講演を行う東レの阿部晃一・副社長基調講演を行う科学技術振興機構の中村道治顧問(前理事長)リオ五輪での活躍について語る箱山愛香さん シンポジウムの冒頭に開かれた招待講演に登壇したのは、リオ五輪のシンクロナイズドスイミング団体で銅メダルを獲得し、「水」の世界で大きな成果を挙げた箱山愛香さん(長野市)です。箱山さんは、リオ五輪での日本代表の演技のようすを映像で紹介し、さらに厳しい井村監督の指導や苦しい練習のエピソードも披露。「どんな状況でも質の高い、完璧な演技ができるようにするため、技術と体力、さらには精神力を鍛えられた。どんなに辛くても毎日全力で練習し、闘ってきた」とコメントし、「自分の好きなことを継続し、多くの人たちに支えられ、メダルまで獲得することができた。夢や希望を明確に持ち、それに向かって努力することは大事なこと」と呼びかけました。■13:00~14:30:ポスターセッション(コアタイム)■14:30~15:00:招待講演箱山愛香・リオ五輪日本代表(シンクロナイズドスイミング女子団体銅メダル)■15:00~15:05:開会あいさつ濱田州博・信州大学学長■15:05~15:15:来賓あいさつ神代浩・文部科学省 科学技術・学術総括官住川雅晴・JST COIビジョン3 ビジョナリー・リーダー沖村正博・長野県ものづくり振興課長■15:15~16:35:特別講演、基調講演土屋定之・文部科学省顧問(元事務次官)中村道治・科学技術振興機構顧問(前理事長) 「わが国の持続的発展に向けたCOIの役割」阿部晃一・東レ株式会社副社長 「日本流イノベーションの創出」■16:35~17:30:COI研究の進ちょく状況上田新次郎・COI拠点 プロジェクトリーダー遠藤守信・COI拠点 研究リーダー高橋桂子・COI-S拠点 研究リーダー■17:30~17:35:閉会あいさつ中村宗一郎・信州大学理事(司会:岡本拓也教授)プログラム12

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