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「森林を活かし 森林に生かされる 私たちの豊かな暮らし」を掲げ、森林の適正管理、持続的に豊かな資源の管理と供給、競争力のある林業を構築するための素材生産量増大といったアクションプランを策定、2025年には木材自給率50%回復させ、林業及び木材産業の再生を目指しています。これらの指針を受けて、森林管理・供給を最適化・省力化、既コスト大幅削減、生産量向上で、木材生産の安定供給に寄与する研究開発が求められてきました。つまり施策の方針としては「アバウトから精密」に変革する必要があり、これを解決するため“満を持して”発表されたのが、航空機・ドローン・バックパックのレーザーセンシング(LS)情報をかけ合わせた統合技術によるシステム化、データベース化の技術開発というわけです。さらにこれを実現するために産学官連携で「LSによる精密林業コンソーシアム」体制(図1参照)で臨むことになりました。総合して「長野モデル」と呼べる展開です。第1フェイズは、3つのレーザーセンシング(以降LS)情報を統合することにあります。航空機による空からのLSによる「高精度の森林資源情報」、長野県は撮影済みの既存情報を活用します。次にドローンによる空中からのLS「森林の見回りと森林調査による情報」、調査の省力化や間伐木の確認など資源情報を更新します。そしてもうひとつが、北欧発のバックパックLSで「地上での収穫調査情報」です。木材の曲がりなどの品質、素材生産量の算定などが計測可能です。もともと個別に機能していた調査方法ですが、GIS(※1)による30cm四方で区切った位置情報と木の種類・直径・高さなどの情報が圧倒的な高精度で整備されることになります。第2フェイズは、これら高精度情報の整備と運用体制の確立です。資源管理は4次元情報(多時期計測により時間軸も加味した情報)で一元管理し、単木レベルでの樹高・DBH(※2)・在積など資源量が把握でき、もちろん、施業履歴、更新情報もあわせて管理し、「精密林業」としてデータを配信可能にします。第3フェイズは収穫と素材生産の段階。前フェイズで得たLS情報から選別した収穫木にチェンソーとハーベスタをナビゲートして伐採などのアシストと生産量の自動集計など、「収穫情報の見える化」を実現します。適切な事業計画により履歴管理と生産設備の稼働率を向上させます。また、LS情報とGISの活用と4次元情報で、履歴管理と次回施業の指標が作れます。つまり適切な施業時期がわかる、というわけです。第4フェイズはこれまでの要素技術を掛け合わせ統合技術を確立し、現場で使えるデータの体制づくりと展開を図ります。これにより国際競争力のある地域イノベーションを目指したスマート精密林業を先導していきます。今回の実証地区の北信州森林組合を核とした長野県北部地域は、現在の木材販売量55,000㎡を平成30年度以降には約2倍の100,000㎡に増加させることを目指しており、県内の優良普及モデルとして展開します。「長野でできなければ、他県ではまず実現しないと考えています」(加藤教授)。変える業開発は?県森林組合連合会の6者が行いました。ト精密林業技術の開発」。プロジェクトで、ューションを目指します。(広報室)使用した地上での収穫調査バックパックによるレーザーセンシング(信州大学)画像は明瞭な地形と林床を示す中下層木の3D横断面図「LSによるスマート精密林業コンソ―シアム」体制【研究代表機関】信州大学コンソーシアム運営委員会産学官が連携しないと実証できない事業(図1)【研究代表】先鋭領域融合研究群山岳科学研究所 教授 加藤 正人 普及担当会議研究進捗の共有と地域貢献(学術連携協定)  学術委員会(全国) 【研究管理運営機関】信州大学  アジア航測株式会社  北信州森林組合【普及担当機関】長野県、中部森林管理局長野県森林組合連合会生産現場への普及コマツ(協力機関)研究マネジメント会議研究シーズから見る革新的ソリューションの4つのフェイズそして目指すゴールは生産量の倍増と地域の競争力強化選別した収穫木にチェンソーとハーベスタをナビゲートすることで伐採アシストと生産量の自動集計などが行える。※1 GIS:Geographic Information System. 地理情報システム ※2 DBH:Diameter Breast Height. 胸高直径12

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