n103_web
12/20

研究代表となる、山岳科学研究所加藤正人教授から、まずは現状の課題が4つ挙げられました。①木材生産が伸びていない…長野県では“森林県”から“林業県”へ、森林資源の活用による地域産業の活性化を目指しているが、生産に伸び悩んでいます。②森林資源データや活用の仕組みが未整備…大量の森林資源データはあるものの、現場で使えるデータとしての仕組みや体制がとれていないため、十分に生かされていません。③素材流通のアウトプットが明確でない…正確な森林資源情報がないため、どの場所で、何(どんな木)を、どの位伐ればよいのか…ということがあまりわかっていません。④調査コストが高い割に数値は“目安”で精度が低い…標準地(毎木)調査は調査コストが高い割に得られる情報の精度が低く、目安数値では適切な事業計画が立てられません。つまりマーケットの需要と豊富な供給資源があっても、製品化、安定生産のためのシステムがない、ということになります。このような背景から、長野県は、平成23年から10年間の森林づくり指針として林業の未来をスマート精密林 長野モデルと平成28年12月、信州大学松本キャンパスで、信州大学・アジア航測・北信州森林組合・長野県・中信森林管理署・長野連携協定を調印、記者会見とキックオフシンポジウムをそのテーマが「レーザーセンシング情報を使用した持続的なスマー日本林業の概念を根本的に変える、革新的な産学官連携まさに山岳地、長野県ならではの「長野モデル」と呼べる持続的な産業ソリレーザーセンシング情報を調印式と記者会見の様子信州大学松本キャンパスで、報道機関を前に、「LSによるスマート精密林業コンソーシアム」6団体が連携協定の調印式と記者会見を行った。記者会見で同プロジェクトの概略を説明する加藤教授高精度の森林資源情報航空機によるレーザーセンシング(アジア航測)森林の見回りと森林調査ドローンによるレーザーセンシング(信州大学)要素技術をかけ合わせた統合技術マルチステージ、多時期計測で高精度な4次元情報に進化単木胸高直径の推定精度は約2cm(樹木頂点認識方法)単木抽出の資源量解析地域産業活性化への期待は大きいが森林資源と林業の抱える課題は多い地域戦略を踏まえ、アバウトから精密へ、産学官連携コンソーシアムへ信州大学先鋭領域融合研究群山岳科学研究所教授 加藤 正人1957年北海道生まれ。北海道大学農学博士、北海道立林業試験場 資源解析科長を経て、2002年信州大学農学部AFC助教授、同教授、同センター長、2014年より山岳科学研究所教授。研究分野は森林計測・計画学。2010年日本森林学会賞他11

元のページ 

page 12

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です