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10装着型デバイス実用化に向けてのポイントは1.状態(安静時/日常生活行動時)によってのセンシング、バイタルサイン測定の可能性。2.センサと器具との接触の程度が要密着か否か。何となく触っていればいいということであれば用途は桁違いに広がっていくはずです。カバードヤーン応用以前はセンサつまり光ファイバーを皮膚上にテープ等で固定。台に手首を固定していても微妙な揺れがノイズとなって脈波計測に影響し、バイタルサインの測定精度が落ちる、あるいは辿り着けないという問題がありました。しかし、カバリングしたFBGセンサでは微妙な揺れを吸収し、やや速い動きになってもかなりの精度で計測可能が検証されました。今は装着圧をいくつか設定して皮膚との密着具合の違いで脈波信号の検出に影響を及ぼすのか、あるいはどの程度の動作まで呼吸や血圧や血糖値というバイタルサインを推定できるのか、実験を進めている段階です。安静時の計測(医療現場・在宅)は既に実用段階に至っていますので、この先、軽運動時の脈波から一つでも二つでもバイタルサインに辿り着ければ実用展開の幅が広がると期待しています。ウェアラブル商品は既に多くの企業で開発、販売が進んでおり、レジャー・スポーツウェアで、リストバンド型ウォッチ型が先行しています。商品開発が進む中、ウェアラブルデバイスは2020年には世界で3億2千万台、日本でも1千万台を超える大きな市場が期待されています。弊社は元々テキスタイル開発を得意としており、テキスタイル型デバイスの開発を進めています。既に日本の伝統技術である西陣織を用いた心電図計測布(体に巻き付けるだけで誰でも数十秒以内で心電図測定が可能)や、圧電ファブリック等を開発し、商品化しています。実用化を目的としたテキスタイル型デバイスに求められるのは、洗濯、衝撃、熱等への耐久性、装着の手間、価格、デザイン等ですが、何より着用快適性が重要です。それを弊社が培ってきた知見を生かして開発し、測定精度においては本プロジェクトに参加させていただき、バイタルサインの究極製品を商品化していくような道筋を作っていきたいと考えています。ウェアラブルバイタルサインシステムについて医療ではどういったものが要求されているのか。厚生労働省指針では2025年をめどに医療・介護の地域包括システムを構築するとなっています。そのために現在、病院、介護施設、在宅での多職種が連携して血圧や脈拍数等バイタルサイン情報を共有するシステムが始まりつつあります。しかし例えば入院した場合、数時間おきに血圧等計測があり、夜中もなかなか眠れません。退院したら自分で測って記録しておく必要があります。それがFBGデバイスということになれば「一つのセンサで」「24時間連続で」「複数生体情報のモニタリング(最もリスクが高い仮面高血圧も検知可能)」が可能になります。更に装着となれば、例えば血糖値測定における感染症リスクを避けられる(現在はお腹に針をさして計測する。ばい菌が入って感染症を起こしかねないところを針を刺さないで済む)。妊婦においても胎児見守り(胎動の連続モニタ)が出来れば非常に有用ではないか。ストレス、動脈硬化、活動量(エネルギー消費量)、睡眠の質、睡眠呼吸障害のチェック・モニタリングにも使える等々の用途があると考えています。信州大学学術研究院繊維学系先進繊維感性工学科教授細谷 聡帝人フロンティア株式会社技術開発部竹下 皇二氏信州大学医学部教授藤本 圭作実用化に欠かせないFBGセンサの精度実験を検証中ウェアラブル商品の実用化に向けた取り組み医療・介護の地域包括システムに役立つFBG装着デバイス

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