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03─最近、長野県内ではいろいろな航空宇宙関連の記事が話題になっています。航空宇宙産業クラスター形成特区の南信州の話題、そしてそこにできる共同研究講座の話題、さらに諏訪地域の小型ロケットプロジェクトの話題、などなど…今日は本学の航空宇宙システム研究センター発足をきっかけに関係者に集まっていただき、座談会を通して信州と航空宇宙の全体像を少し俯瞰して捉えてみようと思います。まずは特命戦略(航空宇宙)担当となられた半田副学長と佐藤センター長からよろしくお願いします。半田 それではこれまでの背景から少し。信州大学工学部は以前より長野県内各地で社会人教育に注力してきました。一つは平成18年に諏訪地区で立ち上げた大学院修士課程「超微細加工技術専門職コース」、平成21年度に当時の科学技術振興調整費で採択された「信州・諏訪圏精密工業の活性化人材の養成;平成22年度に博士課程専門職コースを設置」、これは現在も形を変えながら続けています。SUWA小型ロケットプロジェクトは、地方創生補助金の申請・採択に伴って出てきたものです。 一方、南信州の飯田地区では平成19年から「精密機器制御システム技術者育成コース」を開始し、翌年度より多摩川精機(株)さんの寄附による「モバイル制御講座」では、皆さん記憶に新しい長野県初の超小型人工衛星Shindaisat(愛称:ぎんれい)の打ち上げ成功など、実績を上げてきました。また、昨年3月、新たに航空機システム関連の人材育成ができないか、飯田市、多摩川精機(株)さんから相談を受けました。その話は順調に進み、地域では早速運営を支援するコンソーシアムが立ち上がり、準備会を経て、来年度「信州大学航空機システム共同研究講座」を設置することとなりました。昨年8月にその構想を発表して以来、航空機関係の報道が相次ぎ、今年5月には長野県航空機産業振興ビジョンの実現に向けた産業創成の話になり、将来にわたって工学部の研究領域全体が関われ、夢のある航空宇宙関連であれば、ということで同研究センターの設立に至っています。教育と研究、航空と宇宙はこうして結びつきました。そして、ついこの間、長野県からは産学官連携構想「長野県航空機産業推進会議(仮称)」設置の発表があり、これらの実動部分の連絡・調整がまずは私のミッションになっています。佐藤 産業創成の話が出たので、少し私からも。工学部ミッションの柱の一つに地域社会人を対象とした人材育成があります。地域社会人の学び直しを通して地方創生、地域産業の活性化に資するというようなことは、もともと昔から工学部はミッションにしていたんです。科学技術振興調整費などのプロジェクトへの国からの助成が終わった後でも、細々でも継続していたことが今回のような形で花開いた。地道な取り組みが地方創生の機運とぴったりあったのだと思います。半田 そうですね。今回が今までと違うのはほとんどが地方創生などの外部資金ということ。経済産業省が平成26年、中京圏に指定した「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」に南信州が選定され、そのあたりから始まっています。佐藤 長野県のほうでも、特区申請を中信・諏訪地域に、やがては北信地域にまで伝播させたい方針と聞いています。航空宇宙が次なる地域産業だと県、地域も考えているようです。─航空宇宙システム研究センター長、センターのミッションと各部門をどう動かしていくか構想をお聞かせください。佐藤 当センターのキャッチフレーズは「大空へ、そして宇宙へ」、ビジョンに「航空宇宙システムの人材育成と研究開発の推進」を掲げました。すでにセンターのロゴタ航空宇宙は将来にわたって工学系の研究全体が関われる夢ある領域(半田)柳原 正明(やなぎはら まさあき)榊 和彦(さかき かずひこ)1978年京都大学工学部機械工学第2学科卒業、1981年同大大学院航空工学専攻修士課程修修了、2007年東京大学博士(工学)、1981年科学技術庁航空宇宙技術研究所(NAL)、2003年(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)総合技術研究本部飛行試験技術開発センター長、2014年同機構航空本部基盤技術統括、2016年信州大学工学部特任教授、現在に至る1986年信州大学工学部機械工学科卒業、1988年同大大学院工学研究科修士課程修了、1988年(株)東芝の企業経験を経て、1993年信州大学工学部助手、1999年助教授、2014年教授、現在に至る↑SUWA小型ロケットプロジェクトで実際に打ち上げた、全長約1.5mの1号機 「↑SUWA小型ロケットプロジェクトで実際に打ち上げた、全長約1.5mの1号機 「

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