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15大学発の「酒文化」に思う。「大学は美味しい!!フェア」が約10年ほど前から新宿のデパートで開催され、毎年とても楽しみにしている。そう、昨今国立大学発のお酒も百花繚乱なのだ。産学連携の研究成果とも言えるのだろう。日本酒、焼酎、そして何よりワインが楽しい。ブドウの種苗の開発から、醸造方法の研究まで、大学ごとに特徴があり、様々な工夫がボトルの中に詰まっているからだ。私が以前サントリーの広報にいた関係もあって、信州大学広報室から農学部の「山ぶどうワイン」が送られてきた。そして広報誌で農学部発の「ワイン特集」を行うので、是非感想を、とのメモが添えられていた…早速コルクを抜いて味わってみた。キレの良い酸味、おそらく山ぶどう由来と思われる野趣溢れる果実味。渋さは控えめで、梅ジャムのような香りもいい。少し冷やして飲むと爽やかさが加わり、食べ物との相性も抜群だ。私は1976年にサントリーに入社、広報に配属された。最初のまとまった仕事がちょうど新潟県上越市立博物館で「郷土の偉人シリーズ」と銘打ち開催されていた「日本の葡萄とワインの父̶川上善兵衛展」の広報の手伝いだった。明治23年、日本もワインの時代が来ると、雪深い上越に「岩の原葡萄園」を開設。私財を投げ打ってブドウの品種改良に取り組み、「マスカットベリーA」など今も残る品種を生み出した川上翁の業績やワイン醸造の苦労、歴史等を辿るという、刺激的な仕事だった。以来、大のワイン党である。この展観会以降、色々とお教えいただいた酒博士、坂口謹一郎東京大学名誉教授からアドバイスをいただいた。「岩の原ワインはフランスのシャトーヌフ・ド・パプに似ている。ワインは海外の特徴あるワインに例えると解りやすいよ」と。私は信大の「山ぶどうワイン」は、イタリアの天然微発泡赤ワイン「ランブルスコ」に骨格が似ていると感じた。だから、「山ぶどうの発泡ワイン」も醸してほしい。そして是非飲んでみたい。1976年サントリー(株)入社、広報課長、広報誌編集長等を務める。1997年、デジタルCS放送局ジャパンイメージコミュニケーションズ取締役副社長就任。その後、日本農芸化学会広報委員、東京農工大出版会編集委員、ストリートメディア取締役、横浜商科大講師等を歴任。広報コンサルタント(元サントリー広報部)信州大学広報スタッフ会議外部アドバイザー氏谷 浩志キャンパス内に演習林を持つ信州大学農学部信州大学は学外の広報有識者に広報アドバイザーとして、広報活動への助言・指導など、多彩な協力をいただいています。今年度は時節のテーマなどで信州大学にコメントをいただくコーナーを作りました。③農学部産ヤマブドウ使用「山ぶどうワイン」

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