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「倒れている人を前にした時、どうやったら一般の人が戸惑わずに心肺蘇生を行えるかが課題でした」と川岸准教授。実際にそうした場面に出くわしても、「どんな措置をしたらいいかわからない」、あるいは「自分のやろうとしていることが正しいのか自信がない」という理由で心肺蘇生を躊躇してしまう人が多いのだと言います。こうした現状を改善するために開発されたのが「レスキューボイス」で、手軽に持ち歩けるキーホルダーに心肺蘇生の音声ガイダンスを搭載しています。本体スイッチを押すと、110回/分のリズム音(心臓マッサージの適正なタイミング)と共に心肺蘇生の手順が音声案内される仕組みで、慣れない人でもいざという時に手を止めることなく、心肺蘇生を実践することができます。川岸准教授と、増茂氏(川岸准教授のかつての教え子とのこと)が考案・監修し、設計・開発は、本学が事務局を務める信州メディカル産業振興会の会員でもある、㈲スワニーを中心に、長野県内企業(KOA㈱・タカノ㈱・日本写真印刷㈱・サイミックス㈱)の5社が協力して手掛けました。「レスキューボイス」のキャッチコピーは、「人を守り、自分を守る 命を繋ぐ声のガイド」。前述した心肺蘇生の音声ガイダンスで「人の命を守る」手助けをしてくれる他、さらに防犯/防災ブザーと一体型であることで、「自分の身を守る」という役割も果たします。身の危険を感じた時、周りの人に〝SOS〟を発信したり、また、災害時にどこかに閉じ込められ助けを呼びたいというような時にも、自分の居場所を周囲に知らせることが可能です。「子供たちにも心肺蘇生の方法を普及させたいと思っていたら、小学生らがランドセルにつける防犯ブザーと一体型にすることを思いつきました。この小さなキーホルダーの中に、命を守る機能が凝縮されているんです」と川岸准教授。「これを使って命が助かった、という実例が増えるよう、多くの地域で広めていきたい」と力強く話しました。躊躇せず、心肺蘇生ができるように人を守り、自分を守る優れもの(文・鹿野 なつ樹)いざという時に、心肺蘇生の手順を音声ガイドで教えてくれ、防犯/防災ブザーにもなるキーホルダー「レスキューボイス」が、信州大学、専門学校、企業との産学連携で開発されました。緊急時、誰もが心肺蘇生に取り組めるようにすることを目指し、信州大学の川岸久太郎准教授(学術研究院医学系)と、国際医療福祉専門学校学園顧問・市原市議会議員の増茂誠二氏、そして長野県内の製造業者の皆さんが協力した新製品で、来春の販売が予定されています。ちゅうちょ信州大学との産学連携で誕生!心肺蘇生の音声ガイダンスと防犯/防災ブザー機能の優れもの!14本体スイッチを押すと110回/分のリズム音(心臓マッサージの適正なタイミング)と共に中心部のライトが点滅。キーホルダーの形状は人の上半身(首から下)をかたどっており、ライトの位置が、心臓マッサージの際体のどこを押せばいいかを教えてくれる。防犯/防災ブザーとして大きな音を出したい時には下についている紐を引く。平成28年10月、長野県内ファミリー向けイベントでの体験コーナーにて。左から、製品を考案・監修した信州大学川岸久太郎准教授、体験イベント時にサポートスタッフを務めた信州大学医学部学生の皆さん、共同開発企業より、KOA(株)の牛山久司さん、写真下は音声ガイドに沿って心肺蘇生の手本を見せるスタッフ。

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