環境報告書2016|信州大学
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環境配慮の「実績」AICS省エネ効果創エネ効果 AICSは、ドライルームなどの実験設備に加え、スーパーコンピュータや測定評価分析設備を導入しているため、一般的な建物と比較してエネルギー消費量が大きい施設です。現在、我が国を初め世界では温室効果ガスやエネルギー消費量の削減への早急な対策が求められており、その一環として、最先端の環境配慮設備が21項目も導入されました。 その最新の環境配慮設備を導入したAICSは、開所した2015年6月から1年間の運用実績で、太陽光発電や燃料電池による創エネを考慮すると、同規模の研究棟と比較して、エネルギー消費を53%削減できたことがわかりました。 図1は、2016年6月以降のエネルギー消費量を一次エネルギーに換算して累積したもので、比較のために用いた一般研究建物は、日本サステナブル建築協会(JSBC)の、非住宅建築物の環境関連データベース(DEEC)から引用したものです。DEECによると、1万平方メートル以上の一般研究建物では、年間の累積一次エネルギーの消費量が3,132MJ/㎡なのに対し、AICSが購入した電気・ガスは計1,476MJ/㎡で、約47%程度に過ぎず、結果として約53%の削減が実現したという解釈です。また、AICSで消費された全エネルギー(電気・ガス購入量+太陽光発電・燃料電池発電量+燃料電池の排熱回収量)を加えても2,385MJ/㎡で、3,132MJ/㎡と比較すると24%ほど少なく、この分が「省エネ効果」と解釈できます。 つまり、削減された53%は、「省エネ効果」+「創エネ効果」と解釈できます。 図2は昨年8月における時刻別平均で、AICSで使われた電力量と、その電源内訳を示したものです。平日、休日ともに電力使用量は午後2時前後がピークとなっており、電源では燃料電池の発電量(黄色)をベースに、日射量とともに太陽光発電が山(緑色)を作り、残りを系統から購入した電気(灰色)が補う形となっています。それにより、ピーク時間の系統購入量が少なく抑えられ、燃料電池と太陽光発電の組み合わせがピークカットの効果があることが実証されました。 また、電力負荷が低下する夜間および休日でも、余剰電力(電力負荷を発電量が上回る状態)の発生は見られず、需給バランスが適切に保たれている状態を確認できました。※1全エネルギー消費量:商用系統購入量(電力・ガス)+太陽光発電量+燃料電池発電量+排熱回収量 ※2系統購入量:商用系統購入量(電力・ガス) ※3統計値:一般社団法人日本サステナブル建築協会,DEEC非住宅建築物の環境関連データベースより(研究機関,10,000㎡以上)※4換算係数:系統昼間電力9.97MJ/kWh、系統夜間電力9.28 MJ/kWh 、その他電力9.76MJ/kWh(エネルギーの使用の合理化に関する法律(平成22年3月改正))、ガス43.14MJ/N㎥(HHV)消費量〈MJ/㎡・月〉※4累積一次エネルギー図2 夏期における建物電力量の収支(8月時刻別平均)※5燃料電池発電容量:105kW  ※6太陽光発電容量:300kW0.00.20.40.60.81.01.21.41.61.82.0050100150200250300燃料電池発電量燃料電池発電量※5太陽発電量※6購入電力量電力負荷日射量平日休日22〜23時20〜21時18〜19時16〜17時14〜15時12〜13時10〜11時8〜9時6〜7時4〜5時2〜3時0〜1時22〜23時20〜21時18〜19時16〜17時14〜15時12〜13時10〜11時8〜9時6〜7時4〜5時2〜3時0〜1時〈kW〉〈kW/㎡〉電力量日射量図1  信州大学国際科学イノベーションセンターの累積一次エネルギー消費量の実績真夏の電力 燃料電池、太陽光発電によるピークカットが実現1年間の運用でエネルギー消費の53%を「省エネ」「創エネ」で削減か全エネルギー消費量(実績値)※1系統購入量(実績値)※2一般研究建物(統計値)※39

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