工学部研究紹介2017|信州大学
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大学院生を中心とした研究開発チーム自動収穫機によって根が均一に切断されたホウレンソウ博士課程小池雅和君による国際会議での研究発表(Santa Clara University, USA)空圧式除振台実験装置辺⾒研究室ジャークセンサによる軸受損傷診断実験装置。ジャークセンサと独自に開発した信号処理法によって、極低速回転下でも診断が可能圧電セラミックスのフレクソエレクトリック効果の測定実験装置。圧電材料の新しい現象の利用の可能性を探っている研究から広がる未来機械システム⼯学科卒業後の未来像辺見研究室では、電気と機械を融合したメカトロニクスの重要な要素であるセンサやアクチュエータの開発とそれらを応用するための研究をしています。アクチュエータとは物を動かすための装置のことです。例えば加速度の時間微分値であるジャーク(加加速度)を測ることのできる新しいセンサを独自に開発し、その応用に取り組んでいます。さらに超精密位置決め制御装置でよく使用されている圧電アクチュエータの材料特性や様々な条件下での応答を詳細に調査して、高効率で超精密なアクチュエータ開発などに取り組んでいます。メカトロニクス技術は世の中の製品や製造技術の基盤となる技術です。その一つ一つの要素技術の進化と統合技術の発展が融合して人類の科学技術を進歩させていきます。辺見研究室で進めている研究は、工業技術や生産技術への応用につながる速戦的な内容であったり、将来の科学の発展に寄与することが期待される新しい事象の探求など、学問的にも興味深い斬新的な内容です。辺見研究室では、ハードウェアとソフトウェアの両方を取り扱っており、学生はその両方が出来る技術者になって巣立ちます。就職先企業は自動車、電気、精密機械、電力、ソフトウェア開発、公務員など様々です。研究を通じて学んだ物事に対処する能力と、研究室で苦楽をともにした仲間とのつながりは一生の宝となっています。超精密機械とメカトロニクス要素技術(センサ、アクチュエータ、機構)辺見信彦教授東京工業大学総合理工学研究科博士後期課程を修了後、東京理科大学理工学部機械工学科助手、信州大学工学部機械システム工学科講師助(准)教授を経て、2014年より現職。精密機構・加工、振動の計測と制御、新センサの開発研究などに従事。研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード圧電素⼦・センサ・アクチュエータ・機械振動・運動の制御【先生の学問へのきっかけ】現在の専門分野に進んだきっかけは、ノーベル賞受賞者の湯川秀樹博士に関する本を中学生のときに読み、漠然と物理学者になりたいと感じたことに始まります。それまでは自分もまわりも父の仕事を継ぐものと過ごしていましたが、世の中に貢献するには科学分野に進んだほうがより広く役立てるだろうといった大それた夢を抱き、最終的に大学受験で理工系への進路を決めました。その後は、何事もその時点でできることを一心に努力し、それによって得られた結果が最良の結果だと受け入れてきたことの繰り返しが今に至っています。現在の専門は精密工学です。ものづくりの基礎と応用、そして自分のできることを通じて少しでも人の役に立ちたいといまも考えています。•ジャークセンサを用いた転がり軸受の損傷診断•圧電アクチュエータの荷重下の特性•糖尿病診断のための呼気中の低濃度アセトンセンサの開発•ジャーク計測による振動制御•直交2方向の構造共振を利用した振動子の基礎特性•PZTセラミックスのフレクソエレクトリック効果の研究•インパクトダンパによる弾性案内機構の制振•ジャークセンサの開発(民間企業との共同研究)•プレートフィン熱交換器の加圧式拡管の弾塑性解析(民間企業との共同研究)•スタックドCSPの熱応力解析(民間企業との共同研究)•変位拡大機構と圧電素子を用いた圧力調整器の開発(民間企業との共同研究)•進行波型圧電ポンプの研究(民間企業との共同研究)•高感度実用ジャークセンサの開発とジャークフィードバックによる超精密制振法の実現(科研費(基盤研究C))•ジャークセンサによる低速回転転がり軸受対応の新しい高信頼性損傷診断法の研究(JFE21世紀財団技術研究助成金)•オープンループ駆動による圧電アクチュエータの超精密制御(メカトロニクス技術高度化財団研究助成金)日本機械学会JAMDSMエディタ、長期的視点からの提言検討委員、機素潤滑設計部門幹事/部門講演会実行委員長、機械設計技術企画委員長、北陸信越支部商議員精密工学会学会賞等一次/二次選考委員、北陸新熱支部商議員/県幹事長野県テクノハイランド開発機構圧電セラミックアクチュエータ研究会委員長長野東高校学校評議員、技術史教育学会理事92

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