工学部研究紹介2017|信州大学
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土壌と微生物を利用した維持管理の容易な脱窒素処理装置汚染状況や処理装置の性能を確認するため、水質を様々な分析装置で測定する(写真はイオンクロマトグラフ)排水や廃棄物からメタンが回収できるメタン発酵松本研究室研究から広がる未来卒業後の未来像松本研究室では、都市に住む人々の生活環境や健康をまもるため、微生物を利用した排水や廃棄物の処理技術の開発がおこなわれています。たとえばメタン生成菌と呼ばれる細菌の能力を利用し、生ごみや生活排水に含まれる汚れ成分(有機物)をメタンに変換し、環境浄化と同時にエネルギー資源を取り出す研究が進められています。このような細菌の持つ様々な能力を利用した維持管理が容易で使いやすい環境浄化の「適正技術」が、自然の浄化作用や古くから用いられてきた伝統的な排水・廃棄物処理技術を参考に探求されています。構造が簡単で、維持管理が容易な処理システムは、処理性能はやや劣りますが、導入しやすく、運転に必要なエネルギーが少ないなどの特徴を持っています。このようなシステムを既存の中小規模の排水処理施設と組み合わせることで処理機能が強化されたり資源の回収が可能になります。さらに地理的特性から施設の十分な管理が難しい山小屋のトイレや運転管理技術者が少ない開発途上国での利用も期待できます。近年は卒業後、国や地方自治体の公務員になるケースが増えていますが、プラント建設会社や環境装置メーカーに就職する卒業生もおり、同研究室の特徴となっています。松本明人准教授三機工業株式会社を経て、1993年より信州大学。研究分野は衛生工学および水環境工学で、最近は水環境の評価を通じた環境教育ツールの検討もおこなっている。微⽣物を利⽤してまちをきれいにする環境浄化の『適正技術』を求めて⽔環境・⼟⽊⼯学科研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード排⽔・廃棄物処理・メタン発酵・脱窒素処理・バイオリアクター・適正技術【先生の学問へのきっかけ】土木の道に踏み出したきっかけは身近なところに土木関係者が多かったためです。そして大学研究室で出会ったアジア各地から来る留学生の真摯な姿勢に刺激を受け、またアルバイトや学外実習を通じ、活気に満ちた建設現場(東北新幹線など)を体験できたことが土木に対する思いを高めてくれました。•セルロース系バイオマスのメタン発酵•固形性高級脂肪酸を充填した反応カラムによる脱窒素処理•含油排水の好気性生物処理•セルロース系バイオマスのメタン発酵(科学研究費基盤C、共同研究)•嫌気・好気複合消化による汚泥処理(科学研究費基盤C、共同研究)•固形性高級脂肪酸を用いた土壌カラムによる脱窒素処理(JST研究成果最適展開支援事業、共同研究)•山岳トイレにおけるし尿処理(共同研究)•嫌気性流動床による有機性排水のメタン発酵処理(科学研究費奨励A)•教育ツールとしての水環境健全性指標の開発(高大連携事業)日本水環境学会年会・シンポジウム等検討委員会委員など土木学会出版文化賞選考委員会委員、環境工学委員会委員など長野県「水循環・資源循環のみち2010」構想策定研究会委員財団法人下水道新技術推進機構下水道におけるリン回収・資源化検討会委員など長野市廃棄物減量等推進審議会委員など長野県環境審議会廃棄物専門委員(2010年度)、廃棄物処理施設設置審査会委員82

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