工学部研究紹介2017|信州大学
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補強土擁壁の施工現場、壁面パネルと金属補強材の接続(上)、全景(下)3年生の授業での実験(左)、土だけでは亀裂が入って破壊(右上)、稲わらを混ぜると強度が格段に増加(右下)河村研究室研究から広がる未来卒業後の未来像河村研究室では、橋や建物などの構造物を支える地盤を対象とした研究を、主に室内試験に基づいて実施しています。豪雨による土砂災害は、地盤を構成する土が雨水を吸水することによって土中の水分が増加し、土の強度が低下するために発生します。そのような場合を想定して、土の強度低下特性についての研究を行っています。また、土木構造物に用いられるコンクリートや鉄筋と比較して弱い材料である土を補強し、巨大土構造物を築造するための研究も実施しています。さらに、大深度地下における超硬質粘土の強度や変形特性についても検討しています。土の力学特性の解明のような基礎研究だけでなく、地盤の補強のような応用研究も行われています。地盤の補強は急勾配高補強盛土として実用化されている技術に対する研究であり、近年増加している豪雨時における安定性に対する対策が課題です。超硬質粘土の力学特性の解明は、大深度地下都市の開発に繋がります。同研究室では、学生たちがこれらの実験・解析を日々行っています。卒業生の多くは、官公庁などの公務員、建設会社や建設コンサルタントなどの土木技術者として地域や社会に貢献しています。4年生で卒業して就職する学生も多いですが、大学院に進学する学生も少なくありません。河村隆准教授九州大学工学部卒、信州大学工学部助手、学内講師、助教を経て、2015年より現職。主な研究分野は、粘土の水分保持特性の評価、ジオグリッドを用いた地盤の補強、の評価など。巨⼤⼟構造物の築造から⼤深度地下の開発。地盤の補強と超硬質粘⼟の⼒学特性⽔環境・⼟⽊⼯学科研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード不飽和⼟の⼒学特性・斜⾯保護技術・地盤補強技術・機能性⼟系舗装【先生の学問へのきっかけ】中学生、高校生のとき、愛媛県から香川県に列車通学しました。通学列車の車窓から建設途中の瀬戸大橋や大橋に繋がる鉄道の高架化の工事を見て、「土木工学」という分野を知りました。子供の頃から図画工作やプラモデルなどの「ものづくり」が好きだった私にとって、土木分野は、つくるものが壮大で地図にも残る、つくるまでの過程も大規模である、ということで非常に魅力的でした。自分もそんな仕事に携わってみたいと思い、この分野を選びました。•土の保水特性と吸水特性の定量評価•画像解析を応用した粘土の体積収縮量の測定技術•真空を利用した軟弱粘土地盤の改良に関する研究•土木用不織布によるキャピラリーバリアの斜面防災技術への適用•積雪寒冷地に適用した機能性土系舗装の開発•機能性土系塗装の寒冷地への適用に関する研究(民間企業との共同研究)•豪雨時の斜面防災技術のための高分子通気防水シートを用いたキャピラリーバリアの構築(科研費基盤研究(C))•圧密履歴の異なる粘土の収縮特性とその骨格構造の予測への応用(科研費若手研究(B))•補強材のクリープ変形に伴う補強土のせん断強度の増加特性の評価に関する研究(科研費若手研究(B))•空洞膨張論を用いたジオグリッド補強土の応力・変形分布の予測に関する研究(科研費若手研究(B))•補強材の引抜き特性に及ぼす補強土の応力・変形状態の影響に関する研究(科研費若手研究(B))長野県総合評価落札方式(技術提案型)における技術評価委員会委員長野県新版長野県地質図作成委員会協力者地盤工学会地盤工学ジャーナル編集委員会委員地盤工学会中部支部信州地盤環境委員会幹事地盤工学会・土木学会地盤工学委員会平成26年11月長野県北部を震源とする地震合同調査団幹事長高校生研究体験プロジェクト、信州大学工学部・SSH連携講座77

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