工学部研究紹介2017|信州大学
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卒業研究で人々の意識を調べた結果、『風景としては雑然としすぎて良くないが、橋そのものは結構良い』との評価が得られた大阪の港大橋橋の橋脚として使われる鉄の柱が地震で揺れた際の、コンピューターシミュレーション結果。最初は真っ直ぐだった柱が、最後は完全に折れ曲がっている清⽔研究室研究から広がる未来卒業後の未来像「橋」とは・・・川や海を渡るための交通路?それなら、神社やお寺の入口にある太鼓橋は何のため?清水研究室では、橋を、その力学的な強度の面・デザインや橋に対する印象を多角的に研究しています。力学面では、主として、橋が外力(地震力など)を受けた時、どのように変形し、どのように壊れるか、といった研究が主体です。デザインや印象面では、橋の色や形がどのような印象を与えるか、などの内容が主体ですが、江戸の街の橋が当時の人々にどのように思われていたか、といった研究もしています。力学面の研究は、一口で言えば、橋の壊れ方の研究です。橋の「壊れ方」と「壊れるときの力のかかり具合」がわかれば、橋のどこをどのように補強すれば良いかがわかるからです。と言っても、実際に本物の橋を壊すわけには行きません。ほとんどがコンピュータによるシミュレーションです(たま~に実験もありますが)。デザイン・印象面の研究は内容が色々ありますが、要するに、(良い意味で)印象に残る橋を設計するにはどうしたらよいか、ということです。研究方法も、色々の橋の風景を見たり、江戸時代の地図を見比べたりと、様々です。清水研究室の卒業生の進路は、官公庁・鉄道会社・建設会社など、多岐にわたっています。もちろん橋の会社に就職する学生も大勢います。橋の会社に入った卒業生の中には、話題のあの恐竜の橋~東京ゲートブリッジに携わった方もいます。清水茂教授長野県上田市生。信州大学・名古屋大学大学院博士課程を出て信州大学勤務。専門は橋梁工学。奥裾花橋梁景観検討委員会(委員長)、天龍峡大橋景観・構造検討委員会などの委員を歴任。橋の安全性は?橋のデザインは?⼈々の⼼の中で橋の位置づけは?⽔環境・⼟⽊⼯学科研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード橋梁⼯学・橋梁景観・鋼構造・座屈・耐震【先生の学問へのきっかけ】小さい頃から、交通関連の話題に興味がありました。と言っても、鉄道車両、ということではなく、街の中で道路や鉄道が他の都市施設とともにどんな配置になっているのか、地図を見ながら考える、という、いわゆる街づくり、と呼ばれる内容です。それが長じて大学では土木を選んだのですが、大学で学ぶ中で、橋梁工学にも興味を持ち、現在に至っています。橋梁も、道路や鉄道の一部として機能していますから、ある意味、小さい頃からの興味の延長といえるかもしれません。•鋼橋の座屈・耐荷力•橋梁の損傷対策・劣化診断•橋梁景観•送出し装置上の鋼桁の座屈強度(民間企業との共同研究)•鋼箱桁支点上ダイヤフラムの座屈強度(民間企業との共同研究)•ハイブリッド鋼桁の強度と設計法(日本鋼構造協会の研究プロジェクト)•腹板座屈照査式および方法の統一化(日本橋梁建設協会との共同研究)•ハイブリッド鋼桁の挙動と設計法(科学研究費補助金)•鋼I桁フランジ垂直座屈の発生要因と力学モデル(科学研究費補助金)・国土交通省中部地方整備局名勝天龍峡大橋景観・構造検討委員会委員(2012.7~)・上田市都市計画審議会会長(2012.4~)・東海旅客鉄道中央新幹線景観検討会委員(2012.6~2015.10)・長野市景観審議会委員・デザイン専門部会委員(2009.4~2014.3)・公益社団法人土木学会理事(2013.6~2015.6)・(株)日本鉄骨評価センター評価員(2001.10~)など多数送出し工法で架設される鋼桁の腹板座屈実験(橋梁会社との共同研究)鋼箱桁支点上ダイヤフラムの座屈実験(橋梁会社との共同研究)ハイブリッド鋼桁の挙動実験(日本鋼構造協会の研究プロジェクト、実験は橋梁会社の研究所で実施)75

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