工学部研究紹介2017|信州大学
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空洞構造体による東日本大震災の復興を提言閉鎖性水域(諏訪湖)における底泥のサンプリングと湖底地盤の強度調査および密度検層梅崎研究室研究から広がる未来卒業後の未来像梅崎研究室では、豪雨や地震などによる土砂災害、地すべり、地盤沈下などに対する防災・減災のために、土の強度や変形特性に関する基礎的な研究を実施しています。また、水質汚濁や悪臭が問題となっている閉鎖性水域の水質・底質浄化対策のために、室内実験や諏訪湖などにおける現地調査および実証実験にも取り組んでいます。さらに、放射性物質で汚染された地盤の除染技術の開発や環境修復に関する研究も行っています。これらは、多くの民間企業との共同研究として実施されており、また、省庁や民間団体が企画した研究プロジェクトなどにも参画しています。基礎的な土の力学的挙動の解明から地盤環境の調査や改質改善などの多岐にわたる研究を行っています。人々が生活している地域や都市部の防災・環境保全だけでなく、宇宙開発における月面基地の建設、惑星探査や海底都市の建設、海底探査などに繋がる夢のある研究です。研究室では、学生たちが自主的に様々な実験・解析を日々行っています。市民生活をより快適で安全・安心にするための都市計画や防災対策などに携わる省庁や地方自治体、社会資本の整備などに携わる建設会社や環境調査会社、また、大学院進学を経て大学などの研究機関などへ多くの卒業生を輩出しています。梅崎健夫教授九州大学工学部助手、信州大学工学部助手、助教授を経て、2014年より現職。主な研究分野は、軟弱地盤の改良技術、閉鎖性水域の水質・底質浄化対策、天然ゼオライト用いた除染システムの提案など。⼟の⼒学から地盤環境まで災害を防ぐ、環境を守る⽔環境・⼟⽊⼯学科研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード⼟の⼒学特性・軟弱地盤対策・建設施⼯技術・真空技術の応⽤・⽔質底質浄化・放射性セシウムの除染【先生の学問へのきっかけ】センター試験(当時は共通一次試験)、得意なはずの数Ⅰの1問目、logの計算が解けず頭が真っ白になりました。焦りから次も次も解けません。そこで、最後の問題から逆に解答して行き、解答を済ませましたが、単純な計算ミス等で80点失いました。当時の人気学科を「あっさりと」諦め、祖父母の家から通える大学の土木工学科に入学しました。ちなみに祖父は大工の棟梁でした。計算より実験が好きでした。地盤工学を選んだのは「何となく」身近に感じたからです。環境を受け入れ、周りの人々に恵まれ、恩師の薦めで「運良く」研究者になりました。その都度、「最後は自分で」決断し実行しました。•地すべり地の強度評価と対策•真空を利用した高含水比土の脱水・浄化工法の開発•土と構造物の摩擦特性を制御した新しい基礎工法の開発•閉鎖性水域における水質・底質浄化工法の開発•軟弱地盤の基礎設計のための新しい原位置試験の開発•地盤環境における特定化学物質の原位置計測法の開発•地盤の保水・蒸発特性を利用した温暖化・砂漠化対策•新型真空ポンプ揚水装置の開発(民間企業との共同研究、特許2件取得)•高含水比の軟弱地盤および汚泥の脱水に関する研究(マルチドレーン真空脱水法、袋詰真空脱水法、エジェクター、民間企業との共同研究、特許4件取得)•ラジオアイソトープを用いた浚渫埋立粘土の沈降堆積・圧密挙動の評価に関する研究(科研費基盤研究(B)、民間企業との共同研究)•吸水性高分子摩擦低減剤の膨潤・摩擦特性と仮設鋼矢板引抜きに伴う地盤変状の抑制(科研費基盤研究(C)、民間企業との共同研究、特許1件取得)•多孔質担持機能紙による水質浄化とその水域浄化フェンスへの適用に関する研究(民間企業との共同研究、特許1件取得)•「農地・森林等の放射性物質の除去・低減技術の開発」(農林水産省委託プロジェクト)地盤工学会災害連絡会議地方連絡委員(中部長野県)国土交通省関東地方整備局道路防災対策検討会構成員(有識者)(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構休廃止鉱山鉱害防止技術等調査検討委員会委員(独)科学技術振興機構マッチングプランナープログラム専門委員長野県環境影響評価技術委員会委員ウォーターバリア(水域浄化フェンス)マルチドレーン真空脱水法システムの全景装置の一例ドレーンに付着した底泥脱水処理土排出水(ろ過水)73

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