工学部研究紹介2017|信州大学
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既に身近なところで使われている暗号みなさんも知らないうちに使っていませんか?地デジ岡崎研究室研究から広がる未来卒業後の未来像岡崎研究室では暗号の研究をおこなっています。暗号はICT社会をささえるインフラの要素として重要となっています。しかし、暗号は情報理論、計算理論、あるいは数学など情報工学のさまざまな技術分野の上に成り立つ総合的な学問分野であるため、専門家以外には理解しがたい世界になっています。これからの暗号は「安全であることを誰もが納得して使える」ことを目指さないといけません。同研究室では、数理的技法を用いてコンピュータを使って暗号システムの安全性を証明するための仕組み作りを進めています。暗号システムの安全性をコンピュータを使って証明する。このためには暗号に必要な計算処理とは何かをコンピュータに教えないといけません。従来のコンピュータは「値を計算」するものでしたが、本研究室では「計算処理そのものや論理」を計算できるようにすることに挑戦しています。そのために、確率的アルゴリズムや確率的関数を代数として扱う為の理論をはじめとするコンピュータサイエンスのための応用数理科学を研究しています。暗号に限らず情報セキュリティに関する理論、技術、法律やマネージメント等幅広い知識を習得し、情報セキュリティの専門家として活躍することを期待しています。岡崎裕之助教博士(工学)(京都工芸繊維大学)大阪電気通信大学非常勤講師、京都コンピュータ学院非常勤講師、信州大学大学院助手を経て20007年より信州大学大学院助教暗号理論の研究に従事。主に•数論アルゴリズム応用による暗号方式実装技術•形式的手法による暗号の安全性証明に取り組む。情報セキュリティの基礎理論暗号はICT社会のインフラです電⼦情報システム⼯学科研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード暗号理論・形式的⼿法・定理証明・計算理論・数理論理【先生の学問へのきっかけ】もともと理論物理学をやりたかったのですが、数学が苦手だったので工学系の大学の実験物理学、特に電子顕微鏡の研究をやっていた電子情報工学科に入りました。電気、通信、情報など幅広く勉強しましたが、符号理論の先生が教鞭をとられていた情報数学の講義で苦手であった微分・積分をやらなくてもよい数学があると知りました。さらに最先端の数学の問題は計算機を用いて解くことを知りました。これで騙されてしまい、苦手であったはずの入試レベルの数学よりはるかに難しい数学を駆使する暗号理論をやることになってしまいました。•形式的手法による暗号方式の安全性証明確率的関数の識別不能性の形式化アルゴリズムの形式化暗号方式の形式化計算量の形式化•暗号プロトコルの安全性自動検証暗号プリミティブの形式化暗号プロトコルの安全性検証(SSL/TLS等)•情報通信研究機構(NICT)委託研究課題、組織間機密通信のための公開鍵システムの研究開発、(分担)、平成25年-27年•科研費、基盤(B)、MIZAR数学ライブラリの構築と大学数学向け高度遠隔教育用コンテンツ開発、(分担)、平成22年-25年•科研費、基盤(A)、センサネットワークの安全・安心を保証する情報セキュリティ技術の研究、(分担)、平成21年-25年•科研費、基盤(B)、自学自習型e−Learningにおける学生サポートシステムの開発に関する研究、(分担)、平成19年-22年•SCOPE、地域ICT振興型、自治体全域を網羅する安心・安全な街創りのための高耐障害性アドホックネットワークシステムの開発、(分担)、平成19年-20年暗号プロトコル評価技術コンソーシアム会員計算機援用による形式的定理証明システムMizar上での共通鍵暗号方式AES(AdvancedEncryptionStandard)の形式化記述コード(一部抜粋)66

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