工学部研究紹介2017|信州大学
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川原研究室(⼯学基礎教育部⾨)研究から広がる未来卒業後の未来像ノルウェーに設置した高出力ナトリウムライダー用レーザーの一部。レーザ波長の超精密制御を行う夜空に向けて射出される黄色のレーザー。オーロラ活動時の大気温度の空間変動を調べるため、5方向に射出川原研究室では、レーザー光を用いて大気を観測する「ライダー」を中心に、光学的手法を用いた観測技術の開発を行っています。我々が開発した南極や北極という過酷な地で安定して観測が出来る高性能ライダーは世界でも有数の結果を上げています。極域では磁力線に沿って宇宙から荷電粒子が降り込み、高度100km近辺の超高層大気と衝突することで、大気の発光現象オーロラが光ります。このような宇宙からのエネルギー流入により、地球大気はどのような変動をするのか。下層大気からの波動がどのような影響を及ぼすのか。これらを光学技術を用いて研究しています。川原琢也准教授東北大学大学院で火星探査衛星の観測機開発を行い博士学位を取得。1995年から信州大学でナトリウムライダーの研究に従事。南極越冬隊員。その体験談に科学を絡め、長野市内の小中高校で講演多数。観測装置の原理の理解はエンジニアの基本で、研究室ではその教育を徹底しています。また、研究室で行う頻繁な研究発表は、伝える技術を磨くとともに論理的思考のための手法と位置付けています。これらはすべて社会に巣立ってから自分で考えて生きていける人間力の種になると考えていますレーザー光を⽤いて地球⼤気と宇宙との境界領域を探る。極域⼤気の温度変動を計測川原研究室では、工学の分野から地球物理という理学分野へのアプローチを行っています。ライダーを用いた大気観測の歴史は古いのですが、レーザーが常に技術進歩を続けるため、新しいレーザーを用いた新しい観測が生まれています。これからも観測技術は進化を続け、さまざまな「謎」を明らかにするでしょう。『人間が作った観測装置を用いて、神が創造した地球の神秘を調べる機会を与えていただき、頑張ったご褒美に真理の一部を少しだけ覗かせていただいている』という気持ちです電⼦情報システム⼯学科研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード地球物理・超⾼層⼤気観測・レーザー・オーロラ・アクティブリモートセンシング【先生の学問へのきっかけ】私は大学で工学部原子核工学科に入学しましたが、大学院で地球物理学専攻に専攻を変えました。大学院では日本初の火星探査衛星の光学観測機器の開発を研究テーマに与えられました。信州大学に就職してからは、レーザー光で大気の観測を行ってきました。光を計測手段として自然現象を「見る」ことに対する興味が、私が学問を続ける動機となっています。•昼間観測ライダー計測法の確立•計測制御工学の大気観測への応用•人工衛星観測のための光学観測器の開発•ライダー3D観測のための観測器開発•極域観測のための最適システム設計•計測制御工学の農業機械への応用•ナトリウムライダーの新規観測モード:3次元観測への拡張(科学研究費基盤研究B)•ナトリウム温度ライダーに応用するレーザ周波数の超精密制御方法の研究(科学研究費基盤研究B)•極域温度モニター用高出力ナトリウム・レーリー温度ライダーの基礎研究(科学研究費挑戦的萌芽)•昼間観測のためのナトリウム温度ライダー用超狭帯域光学フィルタの開発と特性測定(科学研究費基盤研究B)•南極域における下部熱圏中間圏の温度構造/エネルギー結合過程に関する研究(科学研究費奨励研究A)•昼間観測のための中間圏ナトリウムライダー用ファラデーフィルターの開発(科学研究費奨励研究A)小中学校での南極観測講演会57

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