工学部研究紹介2017|信州大学
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⽥久研究室研究から広がる未来卒業後の未来像田久研究室では、電波による情報漏えい対策として無線セキュリティ技術や建物や人をモニタリングする無線センサネットワーク技術を研究しています。スマートフォンではLTEやWiFiなどの無線通信が利用されていますが、電波は広範囲に飛ぶため情報が漏えいする危険にさらされています。田久研究室では、電波が漏えいする仕組みの解析、その対策として軍事で利用されているジャミングによるセキュリティ技術を検討しています。また、建物や人の体調などを簡単にモニタリングできる無線センサネットワーク技術を創出する研究も進めています。無線通信はウェアラブル端末やロボットなど様々な応用が期待されています。しかし、情報が漏えいすると最悪の場合、機器が乗っ取られ、我々の生活が危険にさらされる恐れがあります。田久研究室が注目するセキュリティ技術により暗号技術をより強固にして、安全かつみなさんが安心して無線通信を利用することができるようになると考えれます。安心・安全な社会に向けて極めて重要な研究になると考えます。田久修准教授慶應義塾大学大学院助手、オーストラリアシドニー大学訪問研究員、東京理科大学嘱託助教、信州大学助教を経て2013年より現職。無線セキュリティ、無線センサネットワーク、コグニティブ無線など無線通信の可能性を追求する研究を進めています。安⼼・安全な社会を築く無線セキュリティ技術と無線センサネットワーク電⼦情報システム⼯学科研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード無線セキュリティ、無線センサネットワーク(M2M、IoT)コグニティブ無線、セルラーシステム【先生の学問へのきっかけ】学生時代はインターネットが携帯電話からできる時代へと移り変わり、携帯電話のさらなる可能性を感じて無線通信の研究に注目しました。もともと数学が好きだったのですが、無線通信は確率統計、信号処理技術など数学を駆使した技術であり、数学が武器となって技術改良できる点はとても面白いです!•新たなスペクトラムを開拓する無線環境モニタ用スペクトラムセンシング技術•画像信号処理を活用した、高精度信号分離を可能にする、周波数高効率利用とリアルタイム情報収集を可能にする無線センサネットワークの検討•ゲーム理論等の数理決定法を活用した自律リソース制御技術•電波漏えいに対する情報漏えいの現象解析•センサを活用した室内モニタリングによる電波漏えい対策技術•無線通信の制御コマンドとなるCSIの偽装による乗っ取りへの対策•「MIMOコグニティブ無線における送信アンテナ数を認知するための実験的検討」(科研費若手研究B)•「コグニティブ無線のためのインテリジェントMACレイヤ技術に関する研究開発」(総務省受託研究による複数大学との共同研究)•「コグニティブ無線に適した学習型占有率測定法の最適設計」(科研費若手研究B)•「無線エージェントを利用した高スループット・低消費電力・自立分散無線システム」(民間財団による助成金による研究開発)•「環境認知型超高効率無線センサネットワークの研究開発」(総務省受託研究による複数大学との共同研究)•「混信状態を活用した安全性と大容量化を両立する無線ネットワークの創出」(民間財団による助成金による研究開発)•「電波漏洩対策に有効なマッシブ電波センサアレイ」(科研費萌芽研究)電子情報通信学会ソサイエティ論文誌編集委員会査読委員電子情報通信学会通信ソサイエティスマート無線研究会幹事米国電気電子学会(IEEE)国際会議(Globecom、ICCなど)におけるテクニカルプログラム委員JST分野別「情報通信技術」新技術説明会においてM2M向けの情報発信限識別法の技術を紹介無線ネットワークにおける情報引き抜き問題ジャミング(人工雑音)という妨害波による無線混信による秘匿化.ジャミングキャンセレーションによる復号技術で安全な通信を実現Machine to Machine Communications (M2M)のモデル実験たくさんのセンサで新幹線の状態(振動数、歪みなど)をモニタする模擬実験。無線センサネットワークでより安全な運行を可能にして、さらなる高速運転が可能になるかも!?電波環境モニタの様子電波測定実験無線セキュリティ技術のコンセプト近年、無線通信はますますその可能性が注目され、教育・ロボット・医療・農業・製造業など様々な適用が議論されています。本学で学んだ無線通信技術を生かして、卒業後は様々な分野で活躍できると期待されます。41

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