工学部研究紹介2017|信州大学
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研究から広がる未来卒業後の未来像(上図)一,二,三次元ナノ構造をもつ無機イオン交換体の結晶構造(下図)フラックス育成したK2TiSi3O9,Na2Ti3O7,LiMn2O4結晶の走査型電子顕微鏡写真。高品質な無機結晶が得られるため,材料のもつ性能が最大限に発揮される(左図)顕微ラマン分光測定装置(右図)ホール効果・比抵抗測定装置最先端の分析機器を用いて無機結晶の構造や物理特性を評価できます林研究室フラックス法や水熱・安熱法などの無機結晶育成技術を駆使して,ナノシートからバルク結晶まで多様な機能性無機結晶を育成しています。計算科学・電気化学・生物無機化学の専門家と議論しながら,マテリアル&アクアイノベーションを実現する機能性無機結晶の研究に日夜奮闘しております。最先端の分析機器を利用して研究に取り組むことができます。林研究室では手嶋・是津研究室とともに,アクアイノベーションを実現する機能性無機結晶の研究に取り組んでいます。具体的には,海水やかん水から選択的にリチウムなどの希少有用資源を回収する無機イオン交換体や放射性元素などの汚染物質を選択的に除去する吸着材を研究しています。材料科学を基盤として,ナノ構造をデザインすることで無機結晶の機能を引き出します。また,最先端の動力学手法や先進計測技術を駆使して,材料のもつ不思議な機能を明らかにします。国内外の研究者と積極的に連携し,実現困難な課題の解決や新しい学問分野の開拓にも挑戦しています。林研究室では,イオン交換体・吸着をキーワードに機能性無機結晶育成や資源回収・環境浄化に係る技術を学ぶことができます。卒業後は環境・エネルギー関連分野を中心に,幅広い分野で研究者あるいは技術者として活躍することが期待できます。林文隆助教東京工業大学で博士(工学)を取得後,2009年東京工業大学特任助教を経て,2015年より現職。研究分野はコロイド界面科学・材料科学・触媒科学。アクアイノベーションを先導する機能性無機結晶〜超薄膜から単結晶まで〜物質化学科研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード環境浄化・資源回収・イオン交換・選択吸着分離・吸着材・第⼀原理分⼦動⼒学法【先生の学問へのきっかけ】小学生・中学生の頃から漠然と科学に対して憧れを抱いていました。当時環境問題が刻々と深刻化していることがメディアで報道されていました。どれだけ問題解決に貢献できるか分からないけれど,一生懸命やってみようと奮い立ち,大学・大学院に進学しました。良き指導者と仲間に巡り会えたことが今の自分の礎になっています。研究の醍醐味は,世界で誰も答えを知らない問題に対して自分のアイディア一つで挑戦できること。狙ったとおりの結果が得られたときは身震いするくらい感動します。皆さんもとことんやりたいことや好きなことに挑戦していってください。•チタン酸塩結晶のフラックス育成と重金属イオン吸着除去への応用•層状遷移金属酸素酸塩結晶を用いた放射性核種の選択吸着除去•無機イオン交換体を用いたリチウムイオンの選択回収•カーボン-層状無機化合物ハイブリッド材料の作製と応用•フラックス法による鉄系アニオン交換体の作製と吸着特性の解明•分子動力学法によるLiイオン選択吸着機構の解析•カーパリネロ分子動力学法によるTiO(OH)2のLiイオン選択吸着機構解析(Princeton大Annabella Selloni教授との共同研究)•機能性無機結晶と炭化物ナノシートとの複合化とその応用(Drexel大YuryGogotsi教授との共同研究)•フラックスコーティング法による機能性結晶薄膜作製と電気化学的応用(Wollongong大Gordon Wallace教授との共同研究)▼Ti,Nb系窒化物ナノシートの作製とその電池電極材料への応用(JSPS 研究活動スタート支援)▼食塩を用いるフラックス法を利用したリチウムイオン選択吸着材の開発(ソルト・サイエンス研究財団奨学寄附金)▼アモノサーマル法による炭化物・(酸)窒化物ナノシートの作製と電気化学反応への応用(徳山科学技術振興財団奨学寄附金)▼高機能性無機結晶を用いた排水・環境水からの稀金属イオンの選択回収(鉄鋼環境基金奨学寄附金)▶ひらめき☆ときめきサイエンスへの企画運営協力(H26年~)▶イノベーションジャパンやJSTフェアへの出展運営協力(H26年~)@Princeton@WollongonProf.SelloniProf.Wallace林助教林助教27

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