工学部研究紹介2017|信州大学
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研究から広がる未来卒業後の未来像次世代電気自動車への搭載をめざす全結晶型リチウムイオン二次電池(LIB)。コイン型LIB(左)とLIB用結晶の構造(右上)と写真(右下)海外の国際学会(フランス,イタリア,韓国など)および国内最大の大学見本市で発表する凛々しい未来の研究者たち(研究室学生)⼿嶋研究室『未来の車へ、夢の結晶電池を研究中』われわれが住む地球から学ぶことはとてもたくさんあります。手嶋研究室では、是津研究室・林研究室とともに“地球・自然に学び、地球・自然を守る”をキーワードに、次世代のエネルギー・環境材料の創成をめざしています。特に、自然界で結晶(宝石や鉱物など)が成長するメカニズムをお手本にしたフラックス法(溶液の過飽和度の制御により結晶を育成)を基盤に、物質表面の組成や形状を自在に操っています。新しい材料の創出、新機能の付与あるいは性能の飛躍的向上を実現できる結晶作製技術を日々研究・教育しています。結晶とは、原子や分子が規則正しく並んだ物質で、物質そのものの性能を最大限に発揮します。その結晶を地球はたやすく作ります。同研究室では、次世代エネルギー(蓄電池・太陽電池・燃料電池)、ソーラー水素製造(太陽光で水を分解)、環境有害物質の無害化など様々な分野で活躍する“ウルトラマン”のような地球を守る優れた結晶材料をこつこつと作っています。日々の努力の積み重ねが、自身の未来を切り拓きます。同研究室からは、エコマテリアル&エコテクノロジーマインドをもった学生が巣立っていきます。そのため、卒業生は化学・材料系をはじめ、自動車、エネルギーや電機など幅広い分野で研究者・技術者として活躍しています。手嶋勝弥教授名古屋大学で博士(工学)を取得後、2005年信州大学助手を経て、2011年より現職。研究分野は無機化学、表面科学。夢七訓を胸に刻み、日々研究・教育に励む。元々、丸坊主で白球を追い続けた野球少年。努⼒の結晶!次世代エネルギー・環境材料を切り拓く結晶薄膜〜フラックスの挑戦〜物質化学科研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワードフラックス法・単結晶/薄膜・結晶育成・環境・エネルギー材料・無機⼯業材料【先生の学問へのきっかけ】わたしは、ひたむきな野球少年として高校生まで過ごしました。しかし、野球の最中に前歯を折るというアクシデントに見舞われました。実は、わたしの父は歯科技工士であり、父の勤める歯科医院で前歯の治療にあたりました。その際、ある顆粒(白色粉末)を手渡されました。この顆粒を、神経を取り除き、半分となった前歯の空洞に詰めました。差し歯と生体の親和を促進するんだと教えられました。これがアパタイト(顆粒)との出会いであり、そのときはとにかく『すごいな』という気持ちで、化学に興味を抱きました。大学での研究室選びでは、アパタイトを研究している研究室の門戸をたたきました。この瞬間、わたしは無機結晶研究の第一歩を踏み出しました。•フラックス法による機能性単結晶育成(酸化物,フッ化物,硫化物,窒化物など)•フラックスコーティング法による機能性単結晶薄膜形成•ドライプロセスによる物質表面改質(超撥水・超親水,表面処理,バリアなど)•全結晶型(固体型)リチウムイオン二次電池の研究開発•可視光応答光触媒材料・次世代太陽電池材料の研究開発•無機材料を用いた浄水メディア(浄水器)の研究開発•生体硬組織(バイオマテリアル)・発光/蛍光材料の研究開発•JST-CREST(戦略的創造研究推進事業)『超空間』:代表•JST-スーパークラスター事業(長野サテライト)『結晶デバイス』:総括•JST-ALCA(先端的低炭素化技術開発事業)『ハイブリッドキャパシタ』:分担•JST-COI-STREAM『アクアイノベーション拠点』:サブ研究リーダー•NEDO-ARPChem『ソーラー水素製造(可視光応答光触媒)』:分担•NEDO-省エネ革新事業『全結晶型リチウムイオン二次電池』:代表•NEDO-若手グラント『次世代浄水メディアの開発』:代表•科研費・基盤研究A:代表(H25-29),挑戦的萌芽:代表(H26-27)・代表(H23-24),若手研究A:代表(H21-23)など•共同研究自動車メーカー,半導体メーカー,化学・材料メーカーなど多数•財団助成東電記念,鉄鋼環境,ソルトサイエンス,村田助成,日産助成など•日本フラックス成長研究会副会長,会誌編集委員長•表面技術協会学術委員,評議員,関東支部幹事•日本結晶成長学会幹事,新技術・新材料分科会幹事長,講演企画運営理事•日本セラミックス協会クリスタルサイエンス委員•日本学術振興会第183委員会委員,日本MRS表彰委員会副委員長•日本材料科学会評議員,メゾスコピック分科会委員信濃毎日新聞2014.1.1,2013.3.19,2011.1.3121

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