工学部研究紹介2017|信州大学
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研究から広がる未来卒業後の未来像表1.リチウム、ナトリウム、マグネシウムの地殻存在度など(左図)めっき法により作製した三次元構造を有する多孔質銅集電体(右図)グローブボックス内での電池構築の様子。左図の基板にスズを電気めっきすることにより作製した集電体一体型Sn負極をコインセル内に組み込む清⽔研究室現在ではめっき技術や蓄電池は人々の生活に必要不可欠なものとなっています。近年注目を集めている再生可能エネルギーを有効活用するためには、“蓄電”が極めて重要となり、高容量かつ長寿命な電極材料の開発が求められています。私たちの研究室では電気化学・無機材料化学・溶液化学など多岐にわたる学問を駆使し、低炭素社会の実現に繋がる革新的な蓄電デバイスの創製に挑みます。清水研究室では蓄電池材料の開発を行っています。リチウム二次電池はその高いエネルギー密度から電気自動車用電源などの大規模デバイスに使用されていますが、これらの需要増大にともないリチウムの資源問題もその深刻さを増してきています。このような背景の下,リチウムに依存しない次世代蓄電デバイスとして,資源量が豊富であり原料の入手が容易なナトリウムやマグネシウムを用いた蓄電池の開発が求められています。当研究室では新井研究室とともに、めっき技術やカーボンナノチューブを積極的に活用し高性能蓄電池負極材料の創製に取り組んでいます。材料の特性評価には様々な分析機器が必要となり、それらを扱った経験は、卒業後に大きなアドバンテージとなります。めっき技術や蓄電池開発を通して学問の習得だけでなく、機器分析のスキルを身につけ研究開発において活躍できる人材を育成します。清水雅裕助教2016年3月鳥取大学大学院工学研究科修了、博士(工学)取得。この間、同大工学部附属GSC研究センター研究員(2013-2015)、日本学術振興会特別研究員DC2(2014-2015)を兼任。専門は電気化学、エレクトロニクス部品から蓄電池材料開発など、高機能性材料の創製に従事。低炭素社会実現に向けた次世代蓄電デバイスの開発物質化学科研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード蓄電池開発・反応解析・めっき・⾼機能性材料・エレクトロニクス部品【先生の学問へのきっかけ】私は高校生の頃から漠然と「化学」に興味を持っていましたが、特にこれがしたいと思ったことはありませんでした。学部4年生のときに電気化学を扱う研究室に配属され、次世代リチウムイオン電池の材料開発とその中で起きている現象の解明を行うことになりました。それらの化学反応は目では到底見ることのできない極めて小さな世界で進行しており、「分子やイオンの動きを見ることができたらな」といつも強く思います。さまざまな分析機器を駆使して現象解明を行うことができたときの喜びは今も忘れることはできません。現在も電気化学に基づきエレクトロニクス部品から蓄電池材料の開発などを行っています。•ナトリウム・マグネシウム二次電池用新規負極材料の開発•分光学的手法を用いた電極材料の反応解析•めっき法により作製した三次元多孔質銅基板の蓄電池材料への展開•めっき浴中の添加剤が電析形態におよぼす影響の解明•アルカリ金属二次電池負極材料の創製とそれを活かす電極-電解質界面の構築(学術振興会特別研究奨励費:DC2)•ナトリウム二次電池負極の創製(産学連携)日本化学会中国四国支部主催の化学展に協力表面1m断面Ar20

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