工学部研究紹介2017|信州大学
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物質化学科頑丈なシリカカプセルにコバルトナノ粒子を閉じ込める:シリカの表面(右下の電子顕微鏡像)に吸着・触媒活性成分を塗ると、磁石で回収可能な吸着剤・触媒になる有害物質分解触媒の活性試験のようす:固体触媒の研究では,触媒を独自に合成するだけでなく,活性試験の装置を独自に組み立て,活性試験によって触媒性能を明らかにする岡⽥研究室研究から広がる未来卒業後の未来像身近で当たり前のようにみられる現象は実は複雑で未だわからないことがたくさんあります。人間が再現するのも簡単ではありません。しかしこの中に画期的な吸着剤や触媒を開発するヒントは眠っています。現在、幸いにも多くの先端的分析機器を利用できる環境にあります。この恵まれた環境を活かしつつ、分野を超えてあらゆる現象に興味を持って、誰も思いつかない発想で物質を「組み合わせ」れば、これまでにない性能をもつ吸着剤・触媒に出会えることができるでしょう。化学に限らず、電気、機械分野においても新しい素材づくりには化学の知識、そして素材の性質を調べるための技術(特に大型機器で分析する技術)が必要です。また固体の触媒試験では,ガス配管の建設メンテも必要なノウハウです。これらをバランス良く学びながら、主体的に研究に取り組む方法が身につけば、企業等で研究開発の中核を担えることになるでしょう。吸着剤や触媒は,わたしたちの生活に役立つ物質として知られています。例えば,吸着剤は有害な有機化合物を効率良く除去することができますし,酸化チタンなどの光触媒は有害有機化合物を太陽光で効率良く分解してくれます。固体の触媒にはこの他にも天然ガスから水素を効率良く製造したり,身の回りの化成品を生産するなど多方面で活躍している物質です。当研究室では,このような吸着剤や触媒の性能を格段に向上させ,省エネ・省資源化に貢献する研究をすすめています。岡田友彦准教授早稲田大学を卒業(1999.3)後同博士後期課程を修了。早稲田大学助手を経て2007年より助教。2015年より現職。博士(理学)。研究分野は材料化学、表面化学、触媒化学。省エネ・省資源に役⽴つ吸着剤・固体触媒研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード吸着剤・触媒・気相反応・⽔熱合成・省資源【先生の学問へのきっかけ】私は高校では「化学」と「地学」が好きでした。数学をのぞいて他はさっぱりだめでしたが。。大学に進学する目的は高校の理科教員になるためで、一浪を経て大学進学し、教員免許を取得しました。卒業研究では得意な「化学」の研究室を選び、大学院で研究をすすめていくうちに、教科書に書かれていることを教えるよりも、将来教科書に載るような仕事が魅力的であると感じ、この世界に入りました。•磁石で回収可能な吸着剤・触媒の合成•水に浮かぶ光触媒粒子の設計•中空カプセルの合成と省資源型触媒の設計(水蒸気改質・VOC酸化分解など)•有機ポリマーと無機化合物との固相ブレンド(加熱混練)•水熱合成(回転式水熱反応装置)•粘土鉱物の吸着剤・触媒応用•フリーズドライ技術による微細繊維状エアロゲルの調製•ポリ塩化ビニルの低温脱塩化水素技術と陽イオン交換樹脂化•天然物のみで構成するVOC用光学センサーの設計(科研費挑戦的萌芽研究)•層状ケイ酸塩と球状粒子との複合化による協奏機能発現(科研費若手研究B)•ポリ塩化ビニルの完全脱塩素化と残留固体の有効利用(科研費若手研究B)•磁石で回収可能な金属イオン吸着剤の開発(JST A-step)•廃プラから超純粋炭化水素へ変換する炭素循環法の開発(JST ALCA探索)•球状シリカマイクロ粒子とスメクタイト微結晶の複合技術開発(公益財団法人コスメトロジー研究振興財団)•高速かつ簡易に光学分割できる耐溶媒クロマトグラフィーシステムの開発(一般財団法人向科学技術振興財団)•様々な環境下で安定な磁性体の調製(公益財団法人日本板硝子材料工学助成会)•粘土鉱物を用いたカフェイン除去の効率改善(民間企業との共同研究)•廃棄ポリ塩化ビニリデンの脱塩化水素化と有効利用法の開発(民間企業との共同研究)日本粘土学会評議員、常務委員日本化学会「低次元系光機能材料研究会」役員文部科学省科学技術政策研究所「科学技術の状況に係る総合的意識調査」Clay Science Associate Editor信濃毎日新聞2014.2.2517

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