工学部研究紹介2017|信州大学
18/144

卒業後の未来像研究から広がる未来酒井研究室“美”と“健康”に貢献するコロイド・界⾯化学油と水の混合(乳化)、微粒子の粉砕・分散、化学反応などにホモジナイザー(歯車高速回転式撹拌機)や超音波照射機を使用しています写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦2.85cm酒井俊郎准教授株式会社コンポン研究所・ニューヨーク州立大学・東京理科大学・信州大学ファイバーナノテク国際若手研究者育成拠点を経て、2012年より現職,研究分野はコロイド・界面化学水中に油滴が分散しているエマルションの光学顕微鏡像。エマルションは、化粧品、食品、医薬品分野などで利用されています写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦8.15cmO/W物質化学科地上の70%、体内の70%が水と言われていますが、均一な溶液はほとんど存在せず、その大半が分子集合体や液滴、固体粒子が分散したコロイド分散系となっています。すなわち、自然界や生体は、コロイド分散系から構成されていると言っても過言ではありません。コロイド分散系は、液体中に微小空間を形成していることになります。酒井研究室では、この液体中の微小空間(ミセル・液滴・気泡)を利用して、ナノメートル(nm)(10億分の1メートル)~マイクロメートル(m)(100万分の1メートル)サイズの材料創製に取り組んでいます。科学技術の進歩に伴い、製品は小型化し、性能は日々向上しています。酒井研究室では、さらなる高性能化を目指して、高純度コロイド材料の製造技術の開発に取り組んでいます。例えば、乳化剤を使用しない乳化技術や還元剤を使用しない金属ナノ粒子合成法の開発です。この技術は、近年の環境問題や資源枯渇問題などを克服する低環境負荷・省資源・省エネルギー型材料創製技術になりえるものと期待しています。コロイド分散系は、自然界、生体における重要な構成要素です。そのため、コロイド分散系は、様々な分野(例えば、化粧品、医薬品、塗料、洗浄剤、食品、触媒、表面加工分野など)で応用されています。【先生の学問へのきっかけ】受験に失敗した私は、特別興味があったわけではない化学を専攻する学科に入学することになりました。学部3年生になっても化学の面白さを見いだせず、途中何回か挫折しそうになりました。大学4年生になってもそれは変わらず、なんとなく研究室に配属されました。当時、卒業研究テーマの意味や意義は全く分かりませんでしたが、その研究を現在も続けています。この研究を継続している理由は「分からないことを知りたい、明らかにしたい」という極めて単純な理由です。卒業研究との出会いが現在の自分を作ったといっても過言ではありません。研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード乳化・エマルション・界⾯活性剤・ナノ粒⼦・⾦属ナノコーティング・蓄熱材・超⾳波化学•【化粧品・食品・医薬品・塗料など】乳化(エマルション)・分散・界面活性剤・乳化剤(界面活性、両親媒特性、自己組織化)•【エレクトロニクス・触媒など】金属ナノ粒子の合成と金属ナノコーティング•【機能性材料】乳化重合・懸濁重合によるポリマー粒子の合成•【エネルギー】熱エネルギー貯蔵材料(蓄熱材・蓄冷材)•【環境・リサイクル】水質浄化材料(吸着材、触媒など)およびシステム(廃液処理)•【プロセス】超音波技術(分散、洗浄、化学反応、霧化)•国際宇宙ステーションを利用したナノスケルトンの創製とその応用(東京理科大学、東北大学、資生堂、JAXAとの共同研究)•粒子表面上での金属ナノ粒子の自己形成・自己集積パターニング技術の開発(科研費:基盤研究C)•バブルを利用した金属中空微粒子の作製技術の開発(科研費:基盤研究C)•高純度金属ナノ粒子担持マイクロ粒子の製造技術の開発(JST:研究成果最適展開支援プログラムA-STEP)•乳化剤フリー油中水滴型(W/O)エマルションの分散安定化機構の解明と分散安定化技術の開発(コスメトロジー研究振興財団)•水中溶存有機化合物および重金属イオン吸着能・光触媒能を有するチタニウムホスホン酸塩ナノスケルトンの開発(クリタ水・環境科学振興財団)日本油化学会東海支部幹事、関東支部界面科学部会幹事日本化学会コロイドおよび界面化学部会事業企画委員信州コロイド&界面科学研究会会長日本食糧新聞2016.3.2316

元のページ 

page 18

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です