工学部研究紹介2017|信州大学
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遺伝子組換えに使うDNAを抽出している実験(左)と無菌的なクリーンベンチ内で微生物を単離する大学院生(右)写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦8.15cm遺伝子組換えによってキノコのセルラーゼを生産するコウジ菌写真サイズ高さ4.35cm×幅3.6cm配置位置横15.3cm、縦2.85cm蛍光タンパク質によって可視化した植物細胞壁中のセルロース物質化学科野﨑研究室研究から広がる未来卒業後の未来像野﨑研究室(酵素化学研究室)では、自然界に生息する微生物から有用な酵素を見つけ出し、バイオマスの分解利用に活用する研究を行っています。バイオマスは再生可能な資源であり、主に微生物の酵素によって分解されています。この分解システムは、生物が長い進化の過程で獲得してきた効率的なものです。人類がこれををうまく利用するためには、必要な酵素を取り出し、大量生産し、さらには活性や機能、安定性を上げることによって、目的の化学反応に適したものに改良する必要があります。我々とともに微生物がもつ未知の機能を探索し、バイオマス利用の可能性を追求してみませんか。微生物の種類は無限大、しかもそのほとんどは未知の生物です。この中には人類にとって有用な酵素を生産しているものもいるかもしれません。野﨑研究室では、微生物のバイオマス分解酵素の生産性を上げたり、遺伝子組換え技術によって酵素を改良する研究を行っています。酵素は温和な条件で、ある決まった反応だけを正確に進行させます。バイオマスと酵素は、環境調和型の化学プロセスを実現する上でますます重要な役割を果たすようになるでしょう。酵素の利用分野は、化学、医薬、食品、農業、繊維や環境など多岐にわたっています。また、同研究室で習得できる実験技術は、化学系や生物系などの企業で活用できます。より高度で専門的な研究を行うため、修士課程や博士課程の大学院に進学する学生もいます。野﨑功一准教授北海道大学で博士(農学)を取得後、信州大学助手を経て、2005年より現職。青森育ちで自然と田舎をこよなく愛する。専門分野は、酵素化学、遺伝子工学。微生物酵素の基礎と応用研究を行う。微⽣物に学ぶバイオマスの分解と利⽤!〜遺伝⼦組換え技術による酵素の⽣産と改良〜研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード酵素・バイオマス・微⽣物・遺伝⼦【先生の学問へのきっかけ】青森の田舎に生まれ,自然の中で遊び育ってきました。昆虫採集や魚取り,自然との関わり合いの中で,生き物や生態系に対する興味や関心が深くなっていきました。中学校では科学部を作り,高校では生物部の部長を務め,ますます興味が湧いてきました。大学に進学して少し都会に住み始めたとき,今まで見てきた自然豊かな光景は,ごく限られた地域にしか残っていないことに初めて気づきました。大学の講義では,生物の細胞内にある精密機械のようなシステムに感激し,学生実験では生物触媒「酵素」に出会いました。生物の代謝反応は1つ1つ化学で説明できますが,生物全体のシステムを明らかにするには膨大な時間が必要です。気づいた時には,研究にドップリとはまっていました。•酵素反応の解析•酵素の探索,単離や利用•酵素の生産性の向上•バイオマスの酵素分解,有効利用•微生物の同定,遺伝子解析•生物(微生物,植物)が関係した化学的現象の解明や利用•遺伝子組換え生物の作製•あんずの有効利用に関する共同研究(地域・民間企業との共同研究)•酒粕の有効利用を目指した機能性成分抽出法の開発(民間企業との共同研究)•酵素を使った人工染料脱色技術の開発(民間企業との共同研究)•酵素電極を使用したバイオ燃料電池の開発(大学研究所との共同研究)•キノコ培地酵素を利用した染料排水処理技術の開発(財団助成金)•担子菌キノコの潜在能力追求による新規バイオ燃料製造プロセスの開発(信州大学・グリーンイノベーション研究支援事業)•糸状菌セルロース膨潤タンパク質の機能解析(科研費・基盤C)•セルロース系エタノール生産システム総合実証事業(NEDO,受託研究)日本応用糖質科学会総務委員日本生物工学会中部支部幹事生物資源利用・環境研究会(浅間リサーチエクステンションセンター内)副会長14

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