工学部研究紹介2017|信州大学
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Pd (111)巨大リポソームの形成実験の様子。巨大リポソームは細胞と同程度の大きさを持ち、光学顕微鏡で直接観察することができる巨大リポソームに対するマイクロマニピュレーション。人工授精などと同様に極細のガラス針を通して物質を注入するなどの操作ができる物質化学科奥村研究室研究から広がる未来卒業後の未来像科学の進歩により、細胞が化学的原理に基づいて働くシステムであることが明らかになってきました。これを受けて、同様の化学的原理を工学的に使い、細胞と似た機能を持つマイクロ化学システムを人の手でつくりだそうとする考えが生まれました。奥村研究室では、細胞膜にあたる構造である脂質2分子膜小胞(リポソーム)を中心に研究をおこなっています。この構造はシステム外界と内界との境界・インターフェースであるとともに、タンパク質に相当する機能分子群を保持する役割を持つなど、システム構築の基盤となる重要な部分です。高度な細胞類似マイクロ化学システムをつくりだせるようになれば、擬似細胞をマイクロマシンとして利用した新しい治療法、あるいは毒性を持たない「農薬」など、生命現象と関わりを持つ多くの分野における技術革新につながるものと期待されます。宇宙開発などと同様に、そこに到達するには長期にわたる研究と開発が必要となるでしょうが、世界中で挑戦が始まっています。化学に関連した様々な分野で活躍することになります。論理的に考察する力、物事を的確に伝える力など共通して必要となる能力を研究活動を通して伸ばすことを目標にしています。奥村幸久教授京都大学助手、信州大学助教授を経て2012年より現職。研究分野は有機化学を背景とした分子集合体化学、特に脂質2分子膜小胞(リポソーム)の化学。細胞類似マイクロ化学システムをめざして研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワードリポソーム・脂質2分⼦膜・⼈⼯細胞膜モデル・ソフトでウェットなマイクロ化学システム【先生の学問へのきっかけ】高校生の頃から化学は特に好きな科目でした。すでに持っている物質を原料として、まだ手にしていない別の物質を作り出すことを可能にする化学合成に特に興味がありました。お話の世界に登場する「錬金術」(に近いこと)が自分の手で実際にできるわけです。本格的な化学合成を学ぶには知識の他にも化学物質や実験設備が必要なので、大学でなければ修得が難しい技術の1つと言えるでしょう。また、化学以外にも生物などの他の理系の分野にも関心があったので、化学を学んでおけば医薬、生命科学、材料など関連する他の分野とも広くかかわる機会が生まれるだろうという点も進路を選択するにあたり考えたことの1つですね。•非天然型構造を持つ脂質の合成•天然および人工脂質から脂質2分子膜小胞(リポソーム)の形成・修飾・応用•巨大リポソームのエレクトロフォーメーション現象•内部構造を持つ巨大リポソームの形成技術•「人工細胞集積・複合化システムの構築」(科学研究費補助金)•「「ソフトでウェット」なマイクロ化学システムー人工細胞の構築」(科学研究費補助金)•「細胞類似型マイクロ化学システムをめざした次世代人工細胞膜モデルの研究」(科学研究費補助金)など日本学術会議中部地区科学者懇談会幹事(2009.4-現在)長野県長野工業高等学校評議員(2015.4-現在)上・下:Y.Okumura他Membranes,1,345(2011)中:Y.Okumura他Membranes,1,265(2011)12

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