工学部研究紹介2017|信州大学
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藤縄研究室研究から広がる未来地球にやさしいエネルギー!地下⽔を利⽤した次世代型ヒートポンプシステムの研究開発研究支援部門研究⽀援(特任教授)我が国に広く賦存している地下水資源は、有望な熱エネルギー資源でもあります。旧藤縄研究室では、地下水の基礎研究・室内実験などを経て、H22~H25年度に(独)新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)の委託を受け、「次世代型ヒートポンプシステムの研究開発」を実施し、地下水制御型高効率ヒートポンプ空調システムを工学部講義棟へ導入しました。H26~H27年度は、農水省予算の「攻めの農林水産業の実現に向けた革新的技術緊急展開事業」の採択を受け、安曇野市で実証試験「施設園芸栽培作物の低コスト・高品質・周年安定供給技術の確立」を実施しました。藤縄克之特任教授農学博士(京都大学)。科技庁客員研究員(デルフト工科大学)を経て1989年に信州大学教授に就任。2014年から現職。専門は地水環境工学。深刻化する温暖化を防ぐため、地球環境にやさしい持続可能エネルギーの開発と活用が求められています。近年、地下水を熱源として利用する「次世代型ヒートポンプシステム」が脚光を浴びてきており、建築物の空調のみならず、施設園芸用ハウスなどの温度制御への応用も進められています。石油に変わる暖房エネルギーとしての効果は抜群で、実証試験ではハウス栽培で80%以上の消費エネルギーが削減されました。このような新技術が内外で普及していけば、温暖化対策の強力な手段になると考えられます。地下水を熱源として冷暖房などに効率的に利用するためには、地下水の流れや地中の熱移動を定量的に評価し、その結果をシステムの設計に生かす必要があります。大学では、このような新技術に係る基礎研究から応用研究まで幅広い研究が行われています。次世代型ヒートポンプシステムの研究開発のために講義棟に備え付けられたモニターシステムサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm地下水を熱源とした局所温度制御温システムを導入した施設園芸ハウスとイチゴ(信大BS8-9)の栽培状況サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦7.8cm研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード地下⽔・熱エネルギー・⽔資源・地下⽔汚染・地盤沈下・地球環境【先生の学問へのきっかけ】大学で水に関わるスポーツ(ボート)をやっていたせいか、地下水学を専攻。でも、良質な水資源そしてエネルギー資源として社会との関わりが大きい地下水を対象とした地下水学(あるいは水文地質学)は欧米ではメジャーな学問なのに、なぜか日本ではマイナーな学問。かつ日本では研究者・技術者も極めて少数。こんな学問こそ、実はやりがいがあったりします。農学系(京大)・理学系(ブリティッシュ・コロンビア大学)・工学系(デルフト工科大学)といろいろな大学で、そしていろいろな学部で地下水を学んだことが研究者としての道を支えてくれました。•地下水を熱源としたヒートポンプシステムを用いた冷暖房技術•太陽熱・発電所廃熱などの地下蓄熱と活用•地下水資源強化と活用•地下水汚染処理と地下水水質保全•地盤沈下対策•(独)新エネルギー産業技術総合開発機構・次世代ヒートポンプシステム研究開発委託事業「地下水制御型高効率ヒートポンプ空調システムの研究開発」•科学技術振興機構社会技術研究開発・科学技術イノベーション政策のための科学研究開発プログラム「公共財としての水資源保全とエネルギー利用政策の研究」•(独)新エネルギー産業技術総合開発機構・戦略的省エネルギー技術革新プログラム「太陽熱の帯水層蓄熱と地下水熱源ヒートポンプシステムを併用した空調利用技術の調査研究」•攻めの農林水産業の実現に向けた革新的技術緊急展開事業(農水省)「「施設園芸栽培作物の低コスト・高品質・周年安定供給技術の確立」•共同研究・清水建設「土壌中のガス拡散の数値解析に関する研究」•委託研究・日本環境衛生センター(環境省)「土壌・地下水中におけるダイオキシン類の移動機構に関する研究」日本地下水学会会長長野県環境審議会会長地下水・地下熱資源強化活用研究会理事長国際水文地質学会日本支部長農林水産省農村振興局農業用地下水開発技術検討委員会委員長2.中山宏之(理工学研究科修士課程)・藤縄克之:sWaterによるエルダー問題の解析、日本地下水学会若手優秀講演賞(2014年4月24日)3.上原健人(理工学研究科修士課程)・藤縄克之:地下水流動場における熱応答試験時の熱移動解析、日本地下水学会若手優秀講演賞(2014年4月24日1.上原健人・藤縄克之:日本地下水学会研究奨励賞(2015年5月23日)「ケルビンの線源関数の高精度漸近解とパウエルの共役傾斜法を用いた熱応答試験関連パラメータの逆解析法とその適用,地下水学会誌,Vol.55, No.3, p.253-268(2013.8)」環境新聞2015.1.28135

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