工学部研究紹介2017|信州大学
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研究から広がる未来卒業後の未来像⼯学基礎教育部⾨研究室の日常風景。一人ひとりが本や論文の内容を勉強し、セミナーの準備をするサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cmセミナーの様子。勉強した内容をセミナーで発表する。指導教員からいろいろなことを学ぶサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦7.8cm⼤野研究室量子とは物質の最小単位のことです。量子の例として電子や光子などが挙げられます。量子の世界はものすごく小さな世界なので、われわれが直感的に考える物理現象とは異なる現象が多く現れます。量子情報理論では、量子の世界に起こる不思議な現象を利用した、今よりずっと性能の良いコンピュータや、盗聴不可能な通信などが研究されています。量子情報理論を研究するためには、数学の理論である作用素論を学ぶことが必要不可欠です。同研究室では実験機材などは使わず、数学の理論を日夜研究しています。量子情報理論で研究されているテーマの一つに量子テレポーテーションがあります。二つの量子の片方の量子になにか作用を与えると、もう片方の量子に影響が表れるとき、二つの量子には量子もつれがあるといいます。この量子もつれを利用すれば、盗聴不可能な通信である量子テレポーテーションを行うことが可能です。量子テレポーテーションはすでに実験が成功しており、今後のさらなる発展が期待されています。同研究室の卒業生の進路は様々です。機械・電機関連会社から公務員まで幅広い業種に就職しています。同研究室では、論理的な思考力や問題解決能力を伸ばすことを目標にしており、どのような分野でも活躍できる人材を育てています。大野博道准教授東北大学大学院情報科学研究科にて学位(情報科学)を取得。日本学術振興会特別研究員を経て、2009年から現職。専門は作用素論・作用素環論、量子情報理論。作⽤素論と量⼦情報理論量⼦テレポーテーションと量⼦コンピュータ研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード量⼦情報理論・量⼦コンピュータ・量⼦テレポーテーション・数学教育【先生の学問へのきっかけ】私の小さい頃からの夢は小学校の教員になることでした。そのため、地元の大学の教育学部に進学したのですが、そこで高校までの数学とは違う、大学の数学に出会いました。高校までの数学は計算して解くことに重きが置かれています。しかし、大学の数学では理論的な美しさを追求することが一つの大きな目的になっていました。その大学の数学に興味を覚えた当時の私は、教員になるか数学の勉強を続けるか迷いましたが、教員になることはいつでもできると考え、数学の世界に足を踏み入れました。その後も何度となく研究をやめ教員になろうかと迷いながら、しかし現在も研究を続けています。•数学を用いた生涯教育•数学教育における教材の開発•量子ウォークに関する研究•量子アルゴリズムに関する研究•作用素環の量子情報理論への応用に関する研究•量子情報理論におけるPOVMの研究•エントロピーに関する研究•ハイパー群に関する研究•量子情報理論に関連した作用素環論における諸問題の研究(RIMS共同研究)•量子系の条件付き対称完全正作用素値測度に関する研究(科研費若手B)•量子系の完全な正作用素値測度の構成(科研費若手B)•作用素環と量子格子系の研究(学振PD)群馬大学教育学部数学科研修院において講演を行う信州大学工学部工業教育活性化セミナーにおいて講演を行う信州数理物理セミナーを開催信州関数解析シンポジウムを開催第47回関数解析研究会を開催WorkshoponQuantumTheoryandOperatorAlgebrasinSendaiを開催著書「応用解析の基礎」を出版(共著)127

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