工学部研究紹介2017|信州大学
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建築学科遠藤研究室研究から広がる未来卒業後の未来像科学的な見地からの建築保存は、欧州で19世紀に始まりました。他の学問と比較して新しい分野と言えます。ヴォールト構造の耐力評価方法など、未だ明らかになっていないことが多々あります。歴史的建造物の謎を解き明かしていく活動は非常に刺激的です。固定観念にしばられない自由な発想力を養うことは研究に限るものではなく、社会を生き抜いていく力の育成につながります。研究室では、国内だけでなく海外でも自分らしさを表現できる人材の育成を行っています。語学はもちろん研究指導を通して、学生が国際的な幅広い視野を持つことを念頭に指導を行っています。遠藤洋平助教スコットランド・ダンディー大学(修士)、イタリア・パドバ大学(修士)、2015年スペイン・カタルーニャ工科大学(博士)卒業。2016年3月より信州大学工学部。歴史的レンガ造建築の耐震解析・補修を中心に研究を行う。遠藤研究室では、歴史的レンガ造建築の保存の研究を行っています。特にレンガ造建築の耐力を正確に評価する解析手法の探索、またそのような解析に基づいた構造補強計画の提案を研究目的としています。歴史建造物が持つ建築的な美しさを損なわない構造補強をモットーに研究活動を続けています。⻄洋歴史的建築の構造解析と保存活⽤研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード建築保存・世界遺産・耐震解析・耐震補強・町並み保存活用【先生の学問へのきっかけ】私が、建築保存を志したときは、そのような分野を国内で学べる環境が整っておらず欧州に渡りました。欧州の異なる国での研究活動の間に、世界中のトップクラスの研究者との交流が多々ありました。彼らから大きな知的刺激を受け、研究者としての道を志すようになりました。私が受けたような刺激を研究者また教育者として、信州大学の学生に与えていきたいと考えています。¡¡Manos arriba, Shinshu!!■有限要素法による組積造建築の耐震解析・補強■アーチ、ヴォールト構造の構造解析■組積造建築の振動実験■歴史的景観を活かした町並み再生■世界遺産管理に関する研究■英国の建築保存に関する法律の研究■欧州と日本の耐震基準法の比較●ロータリー財団国際親善奨学金●ErasmusMundus奨学金●西原育英文化事業団奨学金IHBC(InstituteofHistoricBuildingConservation)会員、EU研究プロジェクトProjectNIKER(NewIntegratedknowledgebasedapproachestotheprotectionofculturalheritagefromEarthquakeInducedRisk)参加(www.niker.eu)2009年の地震で大きな被害を受けた教会の解析を行った。近年行われたコンクリートによる補強のため、被害がより深刻化したことを明らかにした有限要素法解析によるイタリアの中世教会の崩壊模擬スペイン、バルセロナの世界遺産建築の構造補強現場での材料実験に基づき、ヴォ-ルトの耐力解析を行った。研究成果は、実際の補強計画に利用された英国での研究活動の様子歴史建築再活用のための調査近代遺産の耐震補強のための現地調査歴史的町並み再活性化の提案125

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