工学部研究紹介2017|信州大学
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茅葺屋根の民家に地震計を設置し、地震時に建物がどのように揺れるかを計測している白川郷の合掌造り民家の耐震性能を明らかにするために、合掌造り独特の造り方である板壁と柱のフレームを用いて実験を行う松⽥研究室研究から広がる未来卒業後の未来像建築学科日本には多くの木造建築があります。一口に木造建築といっても、民家や社寺のような昔ながらの建物、現在建てられている一般的な木造住宅、学校などの規模の大きな建物と実に様々です。この中でも特に日本の文化を受け継ぐ方法で建てられた伝統木造建築の耐震性能に関する研究に取り組んでいます。伝統木造建築は地震に弱い?、でも残っている建物もたくさんあります。伝統木造建築は地震に強い?、でも倒れてしまった建物もたくさんあります。本当のところはどうなのでしょう?研究には、こうした疑問を工学的な手法を用いて解き明かしていく面白さがあります。民家、社寺など日本の文化を受け継ぐ伝統建物は今もなお生き続けています。現在では木造建築の研究が進み、ビルやドームなど様々な建築が木造で建てられています。一方で伝統建物の構造の仕組みはよく分からない部分が多いのも事実です。美しい伝統建築を保存・活用する、あるいは今後も建てていくにはどうしたらよいかというテーマは、今の時代だからこそ夢があり、未来につながるものです。木造建築、構造の基本的な考え方を理解しながら研究を進めることで、伝統木造建築の保存や設計に携わることや、木造建築を中心とした構造設計の分野での活躍が期待されます。松田昌洋助教東京大学国際都市再生研究センター特任研究員、東洋大学木と建築で創造する共生社会研究センター研究助手を経て2011年より現職。木構造、主に民家などの伝統木造建築の耐震性能に関する研究に従事。伝統⽊造建築が地震に耐える仕組みを⼯学的な視点で考える研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード⽊造建築・伝統構法・在来構法・耐震性能・耐震補強【先生の学問へのきっかけ】小さな頃から木工が好きだったこともあり、木造建築の伝統的な木組みについて大学で学んで以来、昔の技術になんとなく関心を持っていました。その後、木造建築を専門とする研究室を希望し、木組みを対象とした実験を実施するうちに研究がとても面白くなってきて、のめり込んでいきました。•伝統木造建築の地震防災民家・社寺の現地調査、実験、解析•木造住宅の耐震性能向上耐震補強方法の開発、地震被害調査•建物の歴史的変遷と構造性能構造的な視点と手法による歴史へのアプローチ•伝統的木造住宅における垂壁付き独立柱の静的挙動に関する研究(トステム建材産業振興財団研究助成)•木造建物の完全倒壊防止または倒壊時間を延伸する新耐震補強工法の開発(民間企業との共同研究)•神城断層地震により被災した建築物に対する総合的な調査と対策立案に関する研究(信大戦略的経費2014年長野県神城断層地震の災害調査研究)•神城断層地震で被災した伝統木造建築の記録と保全による山村文化の継承(信大COC事業)•住み手に魅力的存在であり続ける建物の物理的要素と心理的要素の探求(科研費基盤研究C)日本建築防災協会住宅等防災技術評価委員会委員長野県建築住宅センター構造計算適合性判定専門委員松本市重要文化財旧松本高等学校保存活用計画策定委員会委員日本建築学会北陸支部災害連絡部会委員静加力実験振動台実験実際の建物を対象とした現地実験122

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