工学部研究紹介2017|信州大学
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歴史的建造物の造りを理解するための模型制作サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm塩の道ちょうじや(大町市)における歴史的建造物調査の様子写真サイズ高さ4.35cm×幅3.6cm配置位置横15.3cm、縦2.85cm梅⼲野研究室研究から広がる未来卒業後の未来像建築学科建築の未来を考える際には、先端的な建築と歴史的な建築の双方を見通すことのできる視点が大切です。歴史的建造物の調査・研究は、この視点を育み、発展させていくための基盤になります。古いものを大切にしながら、新しいものを創造していく、こうした建築の未来を構想していきます。歴史的建造物の保存・再生に関する設計者や技術者、地域の歴史を活かした地域づくりの担い手など、幅広い可能性があります。歴史的建造物の調査・研究と保存・再生に取り組んでいます。私たちは、長い時間をかけて、建築の文化を育んできました。地域のなかには、こうした建築の文化を物語るたくさんの歴史的建造物が息づいています。研究では、歴史的建造物の調査を行い、人が、どのような姿の建物を、どのように建ててきたか、さらには、建物がたてられた当初から現在に至るまでの変遷を把握します。こうした調査・研究をもとに、歴史的建造物の保存・再生について考え、地域の歴史を活かした地域づくりの提案を行っています。梅干野成央准教授2002年信州大学工学部卒業、2004年信州大学大学院工学系研究科修了、2007年信州大学大学院総合工学系研究科修了。博士(工学)。2004年信州大学助手、2007年助教を経て、2014年より准教授。専門は建築史。建築⽂化の継承歴史的建造物の調査研究・保存再⽣研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード建築史・歴史的建造物(農家、町家、神社、寺院、近代建築、⼭岳建築)・保存・再⽣・⽂化財【先生の学問へのきっかけ】「土地に根ざした建築の文化を未来へと伝えたい」そのために、建築の文化を歴史的に解明する研究(建築史学といいます)を進めています。「建築に関わる仕事がしたい」というモヤッとした気持ちで大学へ進学した私は、当初、現代的な建築の設計という分野に興味をもっていました。修士課程へと進んだ後、こうした興味に対する方向性は、信州のとある地域をフィールドとして研究を進めたことで大きく変わりました。この地域には、周囲の山に抱かれて社寺や民家などがたち、それらが美しい山村の風景を形づくっていました。経済性を優先した開発などによってこうした風景が失われていくなか、私のなかに自ずと冒頭のテーマが生まれました。•歴史的建造物の保護(保存・活用)に向けた調査・研究有形文化財(登録・指定)/伝統的建造物郡保存地区/文化的景観•既存建築を活用した建築設計の提案:新旧の融合再生/リノベーション/コンバージョン•歴史を活かした地域づくりに向けたフィールド調査・研究文化遺産の発見・記録・活用/まちづくり/むらづくり•小菅の里及び小菅山の文化的景観に関する調査(飯山市・2013-14)•旧小田切家住宅の歴史的建造物調査(須坂市・2015-16)•塩の道ちょうじや(平林家住宅)の歴史的建造物調査(大町市・2015)•神城断層地震で被災した伝統木造建築の記録と保全による山村文化の継承(信大COC事業・2015)•国立公園法の施行を契機とした山岳建築の意匠論とその展開過程に関する研究(科研費:若手研究B・2013-14年度)•日本山岳建築史の構築に向けた日本アルプスの山小屋建築に関する調査研究(科研費:若手研究B・2009-11年度)ほか松本市文化財審議委員会委員(2012-)、安曇野市文化財保護審議会委員(2012-)、長野市長野駅善光寺口景観検討委員会委員(2011-12)、松本市景観市民会議委員長(2013-14)、長野市歴史的風致維持向上協議会委員(2014-)、山梨県富士山吉田口山小屋修景・整備指針検討委員会委員(2015)、松本市歴史的風致維持向上協議会委員(2015-)ほか調査の記録用紙:野帳建物の形や寸法など様々な情報を現場で記録する。旧小田切家住宅(須坂市)小菅の里及び小菅山の文化的景観(飯山市)120

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