工学部研究紹介2017|信州大学
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人間と人間との間に存在する仕切り(障子)のデザインに応じて、室空間の利用形態が変容する過程を科学的に分析している研究対象とする空間は住宅・高層建築・小学校や大学・公共(歩行空間やトイレ空間など)、世代は幼児から高齢者までと広範柳瀬研究室研究から広がる未来卒業後の未来像建築学科上述した研究に取組むにあたっては、人間が知覚・認知している環境について理解を深めることが大切です。例えば、物理的に2倍明るい環境を、人間が2倍明るいと感じることは稀です。一方、階段の蹴上げやベンチの座面寸法などを数cm変化させた場合などは、その違いを非常に敏感に感じ取ります。人間の知覚・認知システムは、思っている以上にいい加減かつ精巧な側面を持っています。なぜ?どのような条件で?そして、その性質について実験心理学的手法を用いて研究し、より良い構築空間をデザインするために活かす資料づくりが、求められています。総合建設業・設計事務所・ハウスメーカー・行政機関・地方自治体など、自らの希望に応じて、建築に関係する幅広い分野へ就職しています。いずれの分野においても、学際的な視点から建築・都市空間について考えを深める研究経験は役立ちます。人間は自らが過ごす環境を構築するチカラを持っていて、自らがより良く感じられる環境づくりを継続してきています。しかしながら、その目的に根ざして構築された環境が思い通りに機能しないこと、新たな問題を生み出すことは少なくありません。これらの問題について考えるためには、物理的な環境を詳細に調べるだけでなく、心理的(人間の頭の中につくられる)環境の特性を把握して、それらの対応関係を慎重に推察する手続きが欠かせません。柳瀬研究室では、建築空間や都市空間を対象に『人間-環境系に関わる研究』を行っています。柳瀬亮太准教授2001年、早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了、博士(人間科学)取得。2002年、信州大学に着任し、現在に至る。専門分野は、環境心理学、認知心理学。人間と環境の相互作用について研究。より良い環境をデザインするそのために「⼼理的環境」を探究する研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード環境⼼理学・空間認知・⽇常⽣活・⾏動観察・実空間実験【先生の学問へのきっかけ】思い返すと、小学から中学時代に読んだ本の影響を強く受けたように思います。伝奇や古典、推理もの、SF、ショートショートなど、その中に出てくる機知に富む登場人物だったり、魅力的な描写やワクワクする展開…単純に読書を楽しむことが多かったですが、それらの理由を考えることも同様でした。日々の行動も、何らかの理由があって多様な判断が下されるものです。それについて考えたいという願望が根底にあったのかもしれません。•歩行空間のデザイン•高齢者の外出行動を促進する環境づくり•公共トイレ空間の環境改善•日本の建具デザインに関する実験的研究•人間の行動特性と環境デザインの関係•住み手に魅力的存在であり続ける建物•大規模な建築空間内部における表象生成およびその変容過程に関する検討(科研費(特別研究員奨励費))•日常的な移動行動と安全への意識に関する調査(民間企業の助成金)•寒冷山間地における広域生活圏に積雪が及ぼす影響(財団法人の助成金)•駅舎トイレの清潔性維持に関する学術研究(民間企業との共同研究)•住み手に魅力的存在であり続ける建物の物理的要素と心理的要素の探究(科研費(基盤研究C))日本建築学会計画系本委員会委員日本建築学会北陸支部事業委員、研究委員、常議員空気調和・衛生工学会衛生器具数検討小委員会、衛生器具の設置個数マニュアル作成小委員会、大規模厨房設備設計検討小委員会委員日本環境心理学会編集委員会委員須坂市蔵の町並みキャンパス推進協議会長野市中心市街地活性化基本計画評価専門委員会長野市中心市街地活性化基本計画評価専門委員会権堂地区再生計画評価・検討部会119

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