工学部研究紹介2017|信州大学
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発光する透明な雲母セラミック透明な雲母セラミックの電子顕微鏡写真(ガラス中に雲母が析出)ナノサイズの雲母結晶(雲母の層状構造が確認できます。)紫外線の照射により発光可視光下5mm物質化学科樽⽥研究室研究から広がる未来卒業後の未来像カーボンナノチューブ複合セラミックスは、セラミック人工関節の長寿命化、雲母複合セラミックスはセラミック歯科材料の高精密化、を目的に研究しています。その他にも、人工骨や再生医療には欠かせないスキャホールドなど、セラミック生体材料の高性能化に関する研究を行っています。雲母のイオン伝導性に関しては、高プロトン伝導が得られるなら燃料電池の固体電解質への応用、また、透明な雲母材料は発光も可能で、白色LEDなどの新規発光体としての応用、が期待できます。これまで考えてもいなかった分野へ、雲母を応用することを思案しています。材料化学は、幅広い分野の内容を含みますので、それらの知識・経験を身につけることで、どんな分野の製造業にも対応できます。卒業生・修了生の多くは、いろいろな製造業へ就職していますが、特に、修了生は化学・材料分野の企業への就職が多い傾向にあります。樽田誠一教授長野県屋代高等学校卒、横浜国立大学工学部卒、東京工業大学理工学研究科修士課程修了、同博士課程中退、信州大学助手、講師、助教授を経て現職。専門は無機化学、無機材料化学、セラミックプロセッシング、セラミック物性。セラミックプロセッシングを駆使した新材料の創成。⾮常識な材料をめざしてセラミックスの亀裂の進展を妨げているカーボンナノチューブ2m5mm市販のドリルで穴が開くジルコニアセラミックスセラミックスは有用な性質や機能がたくさんありますが、「脆いこと」と「加工が難しいこと」が、大きな弱点です。樽田研究室では、セラミックスへカーボンナノチューブや雲母などを複合化して、脆さを改善する研究や機械加工を可能にする研究に取り組んでいます。雲母は化粧品や塗料など様々な分野で応用されている物質で、物質工学科では前身の工業化学科・合成化学科の時代から雲母に関する研究を継続して行っています。樽田研究室でも、雲母に関する研究を引継ぎ、上記の雲母-セラミックス複合体の他に、雲母のイオン伝導や透明な雲母セラミックスなど、雲母の常識を覆す研究に取り組んでいます。研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワードセラミック原料・セラミックプロセッシング・マイカ(雲⺟)・ナノカーボン・複合体・焼結【先生の学問へのきっかけ】学生のときに起きた「セラミックブーム」に乗っかり、今に至ります。当時、セラミックスには夢や希望で満ち溢れていました。•機械加工ができるマシナブルセラミックスマイカ複合セラミックス,ワラストナイト複合セラミックスなど•透明なマイカ結晶化ガラス電池・センサー,イオン伝導,発光,機械加工性,金属ナノ粒子の析出など•ナノカーボン複合セラミックス破壊靭性の強化,電子伝導性の発現,熱伝導性の向上•ナノカーボンへの無機ナノ粒子の析出アルミナ,ジルコニア,アパタイトの析出•セラミック原料の合成と成形•無機ナノ粒子の液中分散•「高性能バイオマテリアルとしてのカーボンナノチューブ複合セラミックスの開発」(科研費(基盤研究B))•「電気伝導性を有する透明なマイカ結晶化ガラスの合成」(科研費(挑戦的萌芽研究))•「歯科用快削性セラミックスの開発」(JSTシーズ発掘試験)•「マイカに関連した研究開発」(民間企業との共同研究)•「道路標示材などの研究開発」(民間企業との共同研究)•「3Dプリンタに関連した研究開発」(民間企業との共同研究)日本セラミックス協会教育委員会副委員長,資源・環境関連材料部会副部会長関東支部常任幹事新エネルギー党国際標準開発「固体酸化物形燃料電池セル用セラミックス材料の界面強度に関する国際標準化」委員会分科会(WG)委員長野県地球温暖化防止活動推進センター運営委員会委員長野県ファインセラミックス技術研究会顧問機械加工ができる透明なガラスセラミックスマイカ層間に析出した銀ナノ粒子CNTs複合アルミナセラミックスCNTs表面に析出したジルコニア粒子10

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