工学部研究紹介2017|信州大学
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諏訪盆地における地震動のシミュレーション解析。地震動の到来方向(図の丸印)によって地震動の大きさは大きく異なる免震建物の自動設計プログラムにより設計された建物の性能を数値化した例。右か上に行くほど性能が高い。図中の一つの点が、一つの建物の性能を示す。実施例(構造設計者が設計した建物)より、最適設計された建物の方が性能が高い0.460.480.50.520.540.560.580.60.970.9750.980.9850.990.9951骨組重量の評価値変形角の評価値実施例1回目2回目3回目4回目5回目6回目7回目8回目9回目10回目実施例Wmin(重量最小)θmin(変形角最小)⽥守研究室研究から広がる未来卒業後の未来像建築学科地盤の構造により、地震動の大きさは大きく変化します。また、現在の耐震設計法で設計された建物でも被害が発生することは避けられません。免震構造を導入すれば、建物被害を避けることができます。地震動をより正確に推定し、免震建物の地震に対する設計法を高度化することが、地震被害の低減につながります。高度な技術を持った建築構造設計者となるための教育を実施しています。卒業生は、構造設計の他、建築に関わるコンピュータソフトの開発、建築現場での施工管理などにも携わっています。田守研究室では建物の地震被害の低減に向けたテーマに取り組んでいます。(1)地震観測・常時微動測定による地盤構造の推定:地盤の微小な振動を測定することによって、地下数kmまでの地盤構造がわかります。この結果は、地震時の被害予測の推定に利用されます。(3)最適構造設計システムの開発:建物の設計行為をコンピュータプログラムで自動的に行えば、より性能の高い建物が一度に多数設計できます。現在は、免震建物の最適設計システムが構築できた段階です。http://tamori.3zoku.com/田守伸一郎准教授東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程を修了したのち、1989年から現職。研究分野は建築構造学。戸建て住宅を含む、免震建物・超高層建物の構造設計が適正かの評定も行っている。地震災害低減に向けて、建物の耐震設計法の⾼度化を⽬指す研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード地盤と建物の動的相互作⽤効果、免震・制震構造物の最適設計、地盤の振動、地域の地震災害予測【先生の学問へのきっかけ】卒業研究で、地盤と建物の振動に関することに取り組んだのがきっかけです。•常時微動測定による地盤構造の推定•盆地構造の地震動の性質に関する研究•地震災害予測システムの開発•免震・制震構造物の最適設計システムの開発•個別要素法を用いた地震応答解析プログラムの開発•地盤と建物の動的相互作用に関する研究•免震構造物の最適設計(委任経理金)•免震装置の最適配置システムの開発(委任経理金)•異方向性を持つ異常震域の機構解明に関する研究(基盤研究C)•地盤の大歪領域における杭基礎建物の地震入力に関する実験的研究(奨励研究A)•強震地動を受ける杭基礎建物の設計用入力に関する実験的研究(奨励研究A)•弾塑性領域における地盤・建物連成系の層せん断力分布、奨励研究(A)(財)日本建築センター、高層・免震構造評価委員会委員(社)全国宅地擁壁技術協会、工場評定委員会、工場調査委員㈱全国鉄骨評価機構、鉄骨製作工場評価員長野県耐震診断特別委員会委員長日本建築学会北陸支部常議員116

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