工学部研究紹介2017|信州大学
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地球の未来を考えた建築物、まちづくりを提案する髙木研究室では、環境工学の視点から建築物、まちづくりについて研究しています。建物の中が健康で快適なことは重要です。同様に建物外の環境を考えることも重要です。人間活動は建物周辺の環境に影響を与えるだけでなく、都市環境、地球環境にまで影響を及ぼしています。髙木研究室は建築環境、都市環境に関する研究を行い、ヒートアイランド対策やまちづくりに関する研究を行っています。また地域のエネルギー問題を捉えて、人口減少時代のまちのあり方、温暖化対策を中心とした地球環境問題について研究をしています。日本では大都市圏への人口の集中がある一方、地方都市域の無秩序な拡大の影響で、中山間地の疲弊、都市中心部の衰退が問題となっています。年齢や障害の有無にかかわらず、人々が健康的にいきいきと生活するためには計画的なまちづくりが必要です。そしてそこには地球全体までを見据えた環境の視点を欠かすことができません。私たちはこのような将来を見据えた研究を行っていきます。環境問題に精通した卒業生は社会的にニーズが高く、様々な分野で活躍をしています。官公庁や大手ゼネコン、鉄道やエネルギー関連会社、設計事務所で、環境に配慮したまちづくり、建築物の設計、建設に関わる仕事をしています。髙木直樹教授東京工業大学博士課程修了後、信州大学に勤務。助手、準教授を経て現職。建築物の環境性能に関する研究の他に、リモートセンシングや交通環境、など幅広いテーマで研究している。NPO法人を立ち上げ、幅広い発信をしている。実測調査に加えてリモートセンシングなどの技術での広域長をする。ヘリコプター(高度1000m)による長野市中心部の熱画像。研究の基本は実測調査!自分で考えた測定点に測定器を設置し、研究に必要な期間(数週間から数年)実測する。建築学科【先生の学問へのきっかけ】建建築を目指したのは、小学生の時に開催された東京オリンピックで、まちや社会が大きく変わっていく姿を見たからです。オリンピック施設だけではなく道路や鉄道の整備などでまちの姿が変わりました。環境工学を専攻したのは大学生当時に公害などの環境問題が社会的な問題としてクローズアップされていて、自分も少しでも貢献したいと考えたからです。現在も東京オリンピックでまちが大きく変わろうとしていますし、環境問題は公害問題から地球環境問題へと変化しながらもその重要さは増しています。研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード都市環境、熱、⾵、騒⾳、ヒートアイランド対策、温室効果ガス排出量、省エネのまちづくり・建物内外の温熱環境測定とそのシミュレーション・建物内外の風速測定とそのシミュレーション・建物のエネルギー消費量の測定と削減対策・外部空間における日射・熱授受の測定とそのシミュレーション・都市域の交通流の測定とTDM対策の立案とそのシミュレーション・都市のエネルギー消費量推計とその削減対策・工場から発生する騒音の低減対策・建物内で消費するエネルギーの把握とその削減対策・都市域におけるエネルギー消費量低減対策の立案とそのシミュレーション・交通流の把握と信号制御方式の変更による渋滞改善、大気汚染対策・外壁の変更による周辺環境への熱的影響の変化・長野県環境審議会委員、長野県開発審査会会長、長野県公共事業評価監視委員会委員、長野県温暖化対策専門委員会委員長、山梨県環境アセス委員会委員・長野市都市計画審議会会長、長野市交通対策審議会委員、長野市中心市街地活性化基本計画評価専門委員会委員、長野市第一庁舎・市民会館建設専門アドバイザー委員・日本ヒートアイランド学会理事・副会長、日本リモートセンシング学会理事、日本建築学会環境工学委員会委員、同地球環境委員会委員・JSTA-STEP探索タイプ専門委員高い地点の気温などのデータが欲しいときは、ビルの階段室で測定をしたり、時には風船で測定器を持ち上げて地上数十mに固定して測る。仮設住宅調査の記事建築学科研究から広がる未来卒業後の未来像髙⽊研究室信濃毎日新聞2012.7.10114

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