工学部研究紹介2017|信州大学
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吉⽥研究室博士課程小池雅和君による国際会議での研究発表(Santa Clara University, USA)機械システム⼯学科研究から広がる未来卒業後の未来像吉田研究室は、流体・物質・エネルギーの移動現象をスーパーコンピューターを用いて数値シミュレーションする研究を行っています。身の回りにある空気や水など流動する物質を流体といいます。流体の流れは身近な工業製品から地球環境まで広く関係しています。流体の運動や流れによって拡散する物質やエネルギーをコンピューターで計算することで、複雑な現象を解明し、さらに流れや拡散をコントロールすることを目指しています。例えば、キャビティを過ぎる流れの振動をコントロールする新しい方法を開発しています。流体の運動は運動方程式であるNavier-Stokes方程式を解けば分かります。しかしNavier-Stokes方程式は難しい非線形方程式であるため、解析的に解くことはできません。そこで1秒間に10兆回以上の膨大な計算を高速で行うことができるスーパーコンピューターで数値的に解く数値シミュレーションが有効なのです。スーパーコンピューターがより速く進化することによって、目に見えない空気や水の複雑な流れを可視化することができ、その物理を解明することができるようになります。数値シミュレーションの技術は、様々な工業製品の開発に広がっています。卒業生は機械メーカーエンジニア、プラントエンジニア、ソフトウェアエンジニア、システムエンジニアなど様々な分野で活躍しています。吉田尚史准教授名古屋大学工学部助手、信州大学工学部助手、講師を経て2003年より現職。研究分野は流体工学。特に、数値シミュレーションによって流体を研究する数値流体力学を専門とする。スーパーコンピューターで計算する流れのメカニズムとコントロール空圧式除振台実験装置研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード数値流体⼒学・⾮圧縮性流体・⾃励振動流れ・乱流噴流・流体制御・数値計算法【先生の学問へのきっかけ】青い空に、白く輝く機体が白い飛行機雲をまっすぐに伸ばしながら飛んでいくのを見たことはありますか?何十トンという重量をもつ飛行機が人を乗せて飛べることは不思議ではありませんか?私が流体力学の研究者となったきっかけは、飛行機はなぜ飛ぶことができるのかと興味を持ったことです。飛行機が飛べるのは翼の周りの空気の流れによって発生する力によってです。空気の流れは飛行機に限らず、身近な工業製品や生産でたくさん使われていることを大学の授業で知りました。目に見えない空気の流れがもつ複雑な物理に惹かれ、流体力学の研究に進みました。•自励振動流れの直接数値シミュレーション•自励振動流れの振動抑制流体制御•乱流噴流の直接数値シミュレーションとラージ・エディ・シミュレーション•自励振動流れの流動抵抗の流体装置への応用•数値計算法、とくに高精度境界条件の開発•インクジェットプリンタ内の流動解析(民間企業との共同研究)•プラスチック金型内の流動解析(民間企業との共同研究)•二次元乱流噴流中の物質拡散の直接数値シミュレーション(財団法人中部電力基礎技術研究所研究助成)•数値解析によるキャビティ自励振動流の新しい制御方法の開発(科研費(基盤研究(C))•直接数値シミュレーションによるキャビティ自励振動流の能動制御法の開発(科研費(基盤研究(C))長野県地球温暖化防止活動推進センター運営委員日本機会学会北陸信越支部県幹事日本機会学会第76期流体工学部門講演会庶務幹事キャビティを過ぎる流れの振動コントール。左はコントロールしない流れ。右はコントロールして振動が低減した流れスリットから流体が吹出す二次元乱流噴流の渦度(流体の回転角速度)の等値面。この流れの中で物質がどう拡散するかも調べているキャビティ長さ2.0の自励振動(モード2)キャビティ長さ3.5の自励振動(モード3)キャビティ長さ5.0の自励振動(ウェイクモード)110

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