工学部研究紹介2017|信州大学
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研究から広がる未来卒業後の未来像発電プラント(地熱・⽕⼒等)機器材料の環境強度特性向上、安⼼な発電を⽬指す!脱原発の世論が強まってきた今、地熱などの自然エネルギーを用いる発電の導入や拡大が必要です。化石燃料を用いる火力発電に対してもなお一層の熱効率の向上による燃料使用量の低減、環境負荷の軽減および安全性・信頼性などが求められています。牛研究室では、地熱および火力発電プラント蒸気タービン材料やボイラ機器材料の各種腐食破壊機構を解明し、材料の耐食性向上に関する研究を行っています。また、火力発電プラント高圧蒸気タービン材料について、高温・長期間の過酷な環境における耐久性向上のための微細組織化やクリープ強度に関する研究も行っています。⽜(にゅう)研究室牛立斌准教授信州大学工学部助手、助教授を経て、2007年より現職。材料環境強度学の分野において、プラント機器材料の高温強度や耐食性等の関連研究を行っている。高温蒸気タービンロータ材切欠部に生じたクリープクラックおよび有限要素解析による平均応力成分の分布(等高線)状況蒸気タービンブレード材表面に生じたつぼ形孔食の横断面SEM像X線光電子分光法(XPS)による材料表面の形成皮膜分析。皮膜の形成特性を調査して材料の耐食性評価を行う現在、将来とも文明を支えるもっとも重要な構造材料は金属材料です。牛研究室では、鉄鋼材料を主として金属材料の強度特性、耐食性、耐熱性およびさまざまな破壊挙動に関する基礎的および応用的な研究を行っています。勉強はもちろん、実験、分析、計算、討論ならびに学会発表等を通して金属材料関連の知識および実践能力を身につけます。将来、技術者や研究者として社会に貢献することが期待されます。卒業生は、材料、機械、自動車、電力、電機などの関連企業で、研究開発、設計、生産管理など多くの分野で活躍しています。また、公務員になった方もいます。0.5mm0.2mm機械システム⼯学科研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード蒸気タービン材料・ボイラ機器材料・耐熱性・耐⾷性・クリープ・応⼒腐⾷割れ(SCC)・流動加速腐⾷(FAC)【先生の学問へのきっかけ】高校のときは「物理」と「数学」が好きで、とくに物理の力学部分と数学の幾何学部分が大好きでした。大学では機械工学を勉強し、とくに「材料力学」と「材料学」の内容にすごく魅かれていました。いまは金属材料の関連分野ですきな教育研究を行えて、いろんな苦労があっても嬉しいことが沢山あります。•金属材料の破壊挙動に及ぼす①環境因子(腐食環境、高温環境)②力学的因子③材料組織学的因子の影響に関する研究•材料の腐食試験(浸漬腐食試験、電気化学的腐食試験)による耐食性評価ならびに防食対策•材料の応力腐食割れ評価試験および対策•材料の組織劣化および熱処理等による長寿命化対策•多軸応力状態下での破壊機構分析(実験と解析)•地熱発電プラント蒸気タービン材料の耐食性評価に関する研究(民間企業との共同研究)•蒸気タービン用低圧翼前縁焼入れ部の耐食性評価に関する研究(民間企業との共同研究)•各種ボイラ給水環境中における炭素鋼の耐食性評価および形成皮膜特性(民間企業との共同研究)•火力発電プラントボイラ機器材料の流動加速腐食(FAC)に関する研究(民間企業との共同研究)•金属・プラスチック複合廃棄物の分離装置の研究開発(民間企業との共同研究・環境省環境研究総合推進費補助金事業により実施)ターボ機械協会蒸気機械委員会委員ターボ機械協会蒸気タービン技術向上分科会委員蒸気タービンブレード材に発生した孔食の断面観察(SEM)および形成皮膜の構成元素分析(EDS)**L.-B.Niu,K.Nakada,CorrosionScience,96,171-177,2015.109

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